イオン、楽天…自社経済圏への顧客囲い込み戦争 新決済サービス続出、クレカ終焉か
最近、ビジネス誌を読んでいると「決済サービス」という言葉がやたら目につく。
国語辞典によれば、「商取引が成立すれば、一般的に品物を引き渡したり金銭を支払ったりする権利(債権)や義務(債務)が生じる。決済とは、これらの債権や債務のうち、金銭に関するものについて、実際に金銭の受け渡しを行って債務や債権を解消すること」とある。
これまで決済サービスは、主に銀行やクレジットカード会社などの金融機関が提供してきた。しかし昨今は、小売業やIT企業による新しい決済サービスが続々と登場している。そしてその新しい決済サービスは、従来のプラスチックのクレジットカードより使い勝手がよく、セキュリティも高いとされる。
コンビニエンスストアなどで、楽天Edyや東日本旅客鉄道(JR東日本)が発行するSuicaなどプリペイド形式の電子マネーで支払いをする人をよく見かけるようになり、少額の支払いには電子マネーが定着してきているように感じるが、日本はまだ現金大国である。
日本銀行の調査「決済システムレポート2012-2013」によると、日常的なショッピングにおける現金以外での支払いにおいては、1万円以下の支払いでは97.6%が現金で、電子マネー7.9%、クレジットカード4.7%となっている(2つまで回答可とした質問、以下同)。1~5万円の支払いでは現金66.3%でクレジットカード50.5%、電子マネー1.2%。5万円以上になるとクレジットカードが現金を上回り57.6%、現金52.4%、電子マネー1.0%となる(ちなみに、日銀のレポートでは、電子マネーは「利用する前にチャージを行うプリペイド方式を採用したもの」と定義されている)。
新しいサービスが次々と生まれても、消費者(人間)には保守性があり、長年の習慣からはなかなか離れられない。長い歴史がある現金やクレジットカードを使う習慣が根づいている先進国全般にいえることだ。フランスのコンサルティング会社・キャップジェミニによる調査(「World Payments Report 2014」)によると、非現金による決済金額の伸びの50%以上は新興国や開発途上国で発生しているという。グローバル全体で、クレジットカードや預金口座にリンクづけされているデビットカードの利用は継続して伸びてはいるが、スマートフォン(スマホ)やタブレットといったモバイル端末による決済は毎年60%余の成長が予測されており、その急激な伸びが決済市場に大きな影響を与えている。
ちなみに、世界でモバイル端末による決済をしている利用者の5人に1人は中国人だという調査結果もある。反対に、中国ではクレジットカードは10人に1人くらいしか利用していない。このままの傾向が続くと、5年以内に非現金取引において中国が世界最大の市場になる可能性が高いと報告されている。