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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏(1月10日)

瀕死のドラゴンズ、ファンもあきれる…不可解な契約更改、デタラメな球団経営&人事

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

 落合氏が監督を務めていた時代には毎年Aクラス(3位以上)入りし、2年連続リーグ優勝を果たしたが、「監督の人気がなく、主催試合の観客動員数が年々減り続けている」などの理由でドラゴンズは落合氏と契約更新せず、後任監督に据えたのがOB会長を務めていた70代の高木守道氏だ。一般企業でいえば、かなり前に退職したOBが事業本部長に就任したようなもので、コーチ陣を全員ドラゴンズOBにしたことは、名古屋圏のファンからも失笑を買った。

 熱狂的なドラゴンズファンである地元のグローバル企業の経営トップでさえ、「今どき、こんな人事をするとは……」とあきれていたほどだ。その高木監督はファンからも不人気で、成績低迷も重なり観客動員数減少に拍車がかかると、球団はわずか2年で落合氏を呼び戻しGMに起用した。

 少し時代は遡るが、事業活動の非連続性もある。かつてのドラゴンズは韓国プロ野球とのパイプが太く、「韓国球界の至宝」と呼ばれた宣銅烈(ソン・ドンヨル)投手を獲得したり、1991年から4年に一度中日新聞社の主催(関東開催分は東京新聞、関西開催分は産経新聞社)で「日韓プロ野球スーパーゲーム」を実施したりした。それが諸事情はあったにせよ、第3回の99年を最後に開催されておらず、近年は韓国球界のスター選手も他球団に獲得されている。

 ついでにいえば、過去4代の球団社長も中日新聞社の編集担当役員と広告担当役員が交互に就任する“たすき掛け人事”で、中日グループのベテラン社員からは「今のドラゴンズは広告主導になってしまった」という声がささやかれている。勝負事のプロ野球は「勝てば官軍」であり、こうした話が出るのも成績が振るわないことが一因だ。

●不明瞭な年俸査定基準

 落合氏がGMとして球団復帰した13年オフの契約更改で大きな話題を呼んだのが、不振だった主力選手に対する非情なほどの年俸カットだった。業績低迷企業に乗り込んだ外資系経営者の大リストラ策を思わせる手法は「コストカッター」とも呼ばれた。

 特に同情されたのが、生え抜きの主力だった井端弘和選手の年俸ダウンだ。2億5000万円から88%減の3000万円を提示された同選手は態度を硬化させ、最終的に退団して読売ジャイアンツと年俸4500万円で契約した(ちなみに今季年俸は5500万円で契約更改)。

 13年の井端選手の成績は100試合に出場して77安打、1本塁打、18打点、打率2割3分6厘。成績不振でダウンは当然だが、長年ドラゴンズで1、2番打者として井端選手とコンビを組み「アライバ」と呼ばれた荒木雅博選手は、同年の成績が出場105試合、75安打、0本塁打、19打点、打率2割2分2厘で、年俸は1億7000万円から60%減の6800万円を提示されている。

 数字に表れない細かい査定基準を考慮しても、公平性があった人事査定とは思えず、専門家からも疑問の声が上がった。井端選手を自主的に退団させるために追いやったように見えたのは、さながらブラック企業の指名解雇のようで、球団イメージとしてもマイナスだった。

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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