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サントリーの大ばくち 巨額負債と綱渡り経営、「高すぎる」買収で背負った十字架

文=編集部
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 グループ売上高4兆円を達成するために佐治氏が経営トップに招いたのが、「プロ経営者」と評される新浪氏である。就任早々、新浪氏はローソンでは経験したことのない難問に直面している。大型買収によって、有利子負債と「のれんや商標権」などの無形固定資産が膨れ上がっている。ローソンは実質無借金で、のれん代も大きな額ではなかった。

 のれん代とは、企業を買収した際に支払った金額と被買収企業の純資産の差額をいう。日本の会計基準では20年以内に毎期定期償却する必要があるため、借金の利息の返済とのれん代などの償却を大きく上回る利益を出さなければならない。

●変貌したバランスシート

 ビームの巨額買収でサントリーHDのバランスシートは変貌した。14年12月期第3四半期(14年1~9月累計)の連結決算によると、のれん代は前年同期比2.5倍の1兆341億円、商標権は6.8倍の1兆2715億円。その他を含めた無形固定資産は3.6倍の2兆3662億円になった。長短借入金と社債を合わせた有利子負債は3.5倍の2兆324億円にも上る。

 佐治氏は前出14年5月15日の会見で、ビームの買収によって「年間250億円の金利負担に加え、のれん代の償却費用も年300億円規模になる」との見通しを語った。ビームが借り入れ金の利息を払い、のれん代を償却した後に営業利益が出るようにするためには、年間550億円程度の営業利益を最低でも確保しなければならない。これを下回れば、営業赤字に転落する。

 ビームの13年12月期の営業利益は629億円なので、金利負担やのれん償却を吸収できるとサントリーHDは計算している。商標権まで償却すると赤字になるので、この償却は先送りしたようだ。以上の数字は、毎年巨額の利益を上げ続けることを至上命題とされたサントリーHDが、海外事業拡大に向けて大きなリスクを背負っていることを物語っている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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