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赤字転落、会員激減…ベネッセ、“過去を全否定”改革 現場大混乱も原田社長の想定内

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ベネッセコーポレーション東京本社(「Wikipedia」より/Lim0)
 昨年7月の顧客情報流出事件で深手を負った通信教育大手ベネッセホールディングス(HD)の原田泳幸会長兼社長が、反転攻勢に出た。同年12月2日、「グループ成長を目指した組織・人事に関する構造改革」を発表、大リストラを実施する。原田氏は、同年6月に「プロ経営者」として日本マクドナルドHD社長からベネッセに転じた直後に事件に見舞われた。これまで事件の対応に追われていたが、強烈なリーダーシップを武器にベネッセの改革の陣頭指揮を執る。

 持ち株会社のベネッセHD会長兼社長と中核事業子会社ベネッセコーポレーション社長も兼務した原田氏は昨年12月2日の会見で、「余剰人員があることは就任前からわかっていた。緩やかに経営を変革しようと考えていたが、事件があった以上、スピードを加速するしかない」と語った。原田氏がベネッセHDのトップに招かれたのは同年6月21日。その直後の7月9日に顧客情報流出事件が発覚。業務委託先の元社員が不正に顧客情報を持ち出し、3504万件分の情報を複数の名簿業者に売却していた。

 流出事件の痛手は大きかった。2015年3月期の連結売上高は期初見通しの4860億円を4670億円に下方修正。最終損益は最大で90億円の赤字(前期は199億円の黒字)になる見込み。1995年の株式上場以来、初の最終赤字に転落する。

 大きいのは、流出事件の影響で、ベネッセHDの看板である「進研ゼミ」などの通信講座の国内会員数が、昨年10月時点で前年同期比7.1%(25万人)減の325万人にまで落ち込んだことだ。情報流出が確認できた顧客に500円分の金券を配布するおわびの費用などで、特別損失が300億円強にまで膨らむ。

 流出事件が起こったのは原田氏が就任する前のことだ。ベネッセHDに乗り込んできた原田氏に反発していた役員たちも、事件の責任を問われると沈黙せざるを得なくなった。昨年10月までベネッセコーポレーション社長を務めていた小林仁氏は詰め腹を切らされ、海外事業開発担当のカンパニー長に格下げされた。

 事件を逆手に取って、原田氏は人事権を完全に掌握した。そして、ベネッセHDの構造改革を一気に推し進める好機と判断したのだ。ベネッセの構造改革は、ベネッセHDオーナーの福武總一郎氏から原田氏が託された最優先の経営課題だった。