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「10月と異なり、デフレマインドに戻る懸念は払拭されている」。黒田総裁は追加緩和を見送った理由をこう述べた。足元では原油価格が物価にマイナスに影響しているが、中長期では経済や家計にプラスに働き、物価上昇は急加速するという基調は維持されており、政策変更は必要がないというのが日銀の理論だ。
とはいえ、物価上昇を支えた円安効果は剥落しつつあり、むしろ原油安が足元では物価押し下げ要因になっている。それでも日銀が強気の姿勢を崩さないのは、企業のベースアップの動きだ。経団連が2年連続でベアを容認したことで、実質賃金の上昇による経済の好循環メカニズムを見込む。日銀関係者も「物価の鈍化は原油安で明白。ベアの動向とその効果を見るまでは静観するのでは」と口をそろえる。
もはやベア頼みの日銀だが、民間企業は昨年に比べて規模や業種による収益の差が大きい。自動車や電機などが高収益な一方、小売業界などでは消費増税の影響も大きい。野村證券がまとめた主要企業の経常利益増減率は、14年度見通し5.4%増で、前年度の37.4%増から急落する。
ベアの余力は果たしてあるのか、そしてどこまで浸透するのか。ベアの行方次第では、日銀は掲げ続けた2%の旗を降ろさざるを得ない状況に追い込まれる。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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