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複雑化する同族企業の「後継者問題」(3)

優秀な経営者は「普通ではない家庭」から生まれる 「経営の精神」を鍛える後継者教育を

文=長田貴仁/岡山商科大学教授、神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー

●後継者育成の要

 近年、新社長に就任する人々の顔ぶれを見ると、3つの共通する傾向が見られる。一つは、40代から50代前半の人が増えてきたこと。もう一つはファミリービジネス、特に上場企業で創業家出身者以外の人が就任するケースが珍しくなくなってきたことである。3つ目の傾向は、創業家が関与していないふりをしている点である。創業家の会長などが、表向きは「新社長に任せた」と言い、新時代に合わせた改革を執行させながらも、一方で創業者の経営理念を死守するよう、しっかりと監督しているのである。はたして、これが吉と出るか凶と出るかはわからない。

 グローバル化が進み飛行機で海外出張する機会も格段に増え、外国語が話せるだけでなく、強靭な体力が求められる文武両道の時代になってきた。そんな中、「社長になりたい」と思う人は、増えるだろうか。ファミリービジネスにおいて子息を後継者にしたいと考えているトップは、経営者教育を真剣に考えなくてはならない。そこで何よりも、「立派な社長になりたい」と心から願う気持ちと志を育むことが最優先課題である。

 親が経営者であれば、子息はその背中を見て理想的な後継者に育つのだろうか。ファミリービジネスで世襲を考える場合、誰もがこのような単純な疑問を抱く。確かに、親以上に優れた経営を行っている2代目、3代目は存在するが、逆に先代、先々代が築いた資産や信用を潰してしまう事例も少なくないからだ。このような場合、創業者の祖父母はハングリーであったが、3代目は豊かさしか知らないからだ、と揶揄されることが多い。だが、必ずしもそれだけが原因とは言えない。その論で話を進めれば、いわゆる“ゆとり世代”が担う日本は壊滅するということになる。肝心なのは、時代の流れに沿って、良い部分と、流されてはいけない部分を、きっちりと見分けなくてはならないということだ。

●MBAより重要な家庭での経営者教育

「時代は変わったのだから」という言葉をよく耳にするが、ふと立ち止まって洞察しないと大きな間違いが生じる。それは、一般家庭の教育についてもいえることだが、こと社会的責任の大きい経営者、ましてや家庭と関わりが深いファミリービジネスの後継者として育てようとするのであれば、軸がぶれない、しっかりとした家庭の教育方針が求められる。

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