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欧州金融緩和の衝撃 急激な円高で日本企業に大打撃も 日銀異次元緩和の出口困難に

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欧州中央銀行本店(「Wikipedia」より/ArcCan)
 欧州中央銀行(ECB)が景気低迷の打開策として量的金融緩和に踏み切った。すでに市場は織り込み済みだったために大きな混乱はなかったが、「想定外」と市場関係者の多くが口にしたのが緩和策の終了時期だ。2016年9月としつつも、物価上昇が2%近くに達するまでは事実上の無期限とした。ECBの動きにより、金融政策の整合性が問われ始めている日本銀行は、これまで以上に難しい舵取りを迫られる。

 ECBは国債中心にユーロ建て債券を月600億ユーロ(約8兆2200億円)購入する。今年3月から16年9月までで、2%近い物価上昇目標の達成まで続ける。ECBへの出資比率に応じて国債を購入する。

 気になるのは日本経済への影響だ。購入額が市場予想の月500億ユーロを上回ったこともあり、緩和策の発表直後にユーロ安が鮮明になった。円相場も対ユーロのドル上昇で、円安ドル高が進む方向が明確だ。

 エコノミストの間では「3月までに1ドル120円まで円安が進行する」との見方も出ており、短期的には日本経済にとって追い風になる。1月末に始まる企業の15年3月期通期業績見通しも、円安株高を背景に上方修正が相次ぐ可能性が高い。

●急激な円高を招く恐れも


 一方、長期の視点では気がかりな点も少なくない。ECBが2%近い物価上昇達成までの緩和継続を打ち出したことで、緩和が長引けば日銀の金融政策の出口戦略が一層難しくなる。ECBの資金供給量は16年9月までと仮定しても、総額1兆1400億ユーロ(約156兆円)で日銀の金融緩和規模を上回る。金融政策変更のタイミングを誤れば急激な円高を招きかねず、企業業績の勢いを削ぐことにつながりかねない。

 米国では米連邦準備理事会(FRB)が利上げのタイミングをうかがっており、日銀を取り巻く不確定な要素は多い。日銀の黒田東彦総裁は1月21日の会見で、15年度の物価見通しを下方修正しながら静観を貫く姿勢を示した。ECBのマリオ・ドラギ総裁による想定を上回る「バズーカ砲」は、日銀にとっても試練になる。

 こうした懸念が浮上するのも、今回のECBの緩和効果自体を疑問視する声が多いからだ。欧州経済に詳しいエコノミストは「市場の緩和圧力に抗えずに踏み切っただけで、効果は限定的だろう」と指摘する。