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トヨタ生産方式への誤解「かんばん方式は在庫なし」の嘘 サラダ理論で需要予測不要

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 成功の事例として、鈴村氏がトヨタ勤務時代に、コモディティー化していたフォークリフト向け補給用バッテリーの工場を改革し、納入までに3~4週間かかっていたところを、午前中に注文をもらえば当日午後には出荷できる体制に改めたケースが紹介されている。また、同じくコモディティー化製品のブレーカーの工場を指導した際には、在庫を持つことでヒット商品を生み出した事例も挙げられている。

 指導しているうちに鈴村氏は、多品種のブレーカーの中でも売れるものと売れないものがあるのは、「単にニーズがないからではなく、在庫がないから」であることに気付く。一部の機種で在庫を持つと、値引きせずに定価で売れ始めた。購入した顧客を調べていくと、建設現場などで工事の完成までに時間的に余裕がない顧客が買っていることがわかった。これは顧客が求めるタイミングが合えば、価格競争に巻き込まれないことを示している。

●当たる需要予測はない


 目から鱗の話も多い。多くの企業で実施している需要予測に基づく生産計画策定についても、「当たる需要予測はない」と、ばっさりと斬っている。当たらない需要予測に基づいて生産計画をつくった結果、過剰在庫と欠品が生まれることを豊富な事例で示し、「過剰在庫と欠品の理由が同じであるということに気付かない経営者があまりにも多い」と鈴村氏は指摘する。また、状況に合わせて柔軟な対応ができないコンピューターによる在庫・出荷管理に頼りすぎるあまり、工場の稼働状況と販売がうまくリンクできなくて、在庫が増えたり、欠品が生じたりすることも例示している。

 在庫過多や欠品が発生するのを防ぐのには、「ストア」の設置が効果的だそうだ。ストアとは、保管場所のことだ。一定のルールをつくって、何が置かれていて、どこに流れて(出荷して)いくのかなどが、作業に不慣れな人でも一目瞭然にわかる仕組みのことでもある。こうした仕組みによって、何が売れているか、余っているのかが即座にわかる。このストアを製造工程の上流から下流までに設置して、ストア間を「かんばん」でつないで、情報とモノのやり取りが自律的にできるようにすることで、過剰在庫や欠品は防ぐことができるケースが多い。

 鈴村氏が指導していたコンドームの生産工場では、過剰在庫と欠品が同時に起こっていたが、出荷場の床にテープを貼ってストアの位置を決め、色紙で何を置いているのかを明示するだけで、在庫が多い品番と欠品の品番が一目瞭然となって、工場は品切れしている製品を自律的に製造できるようになったそうだ。それまでは多額の投資をしてコンピューターシステムで在庫管理をしていたが、効力を発揮しなかったという。

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