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牧田幸裕「得点力を上げるための思考再構築」

ディズニーR値上げ目的はぎゅうぎゅう詰め解消、効果ない?駐車料金3割値上げの意味

文=牧田幸裕/信州大学学術研究院(社会科学系)准教授

 では、今回の入場料値上げにより、TDRの来場者数は減少するだろうか? 

 混雑緩和を目的とするのであれば、あまり効果はないと筆者は考える。理由は、以下の2つである。

(1)来場者1人当たりの平均消費額は1万1000円を超え、お土産に4000円程度、飲食に2200円程度費やされている。だとすれば、それらのやり繰りを含め、値上げ分の500円を吸収することは可能である。

(2)今回オリエンタルランドは、5000億円規模の新規投資を10年かけて行うとしており、それにより来場者の体験価値が高まれば、値上げに見合うコストパフォーマンスになる。

 価格が高いか安いかは、すべてコストパフォーマンスにより定義される。6900円の牛丼は高いと思うだろうが、6900円のフランス料理フルコースは安いと感じる。提供価値と比較して、消費者はその価格のコストパフォーマンスを測るからだ。よって来場者の体験価値が高まれば、6900円でもその価格は高くないということになりうる。

●混雑緩和に、より効果的な方策

 このロジックで考えた場合、仮に混雑緩和を目指すのであれば、一番効果的なのは駐車料金の値上げであると考える。実際、入場料値上げと比較してあまり話題になっていないが、今回TDRは駐車料金を従来の2000円から土日祝日に至っては3000円と1000円の値上げを行う。こちらのほうが、クルマを使う来場者からしてみれば、負担感を感じるだろう。

 なぜならば、入場料の6900円に対して来場者はTDRからさまざまな体験価値を提供されるが、駐車料金に対してはただ自動車を止めさせてもらうだけだからだ。つまり、あくまでも混雑緩和という一点だけに絞って考えた場合、駐車料金を4000円、5000円に値上げしたほうが、その目的は達成されるだろう。

 ちなみに競合サービスと考えられるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの場合、入場料は大人料金で7200円、駐車料金は土日祝日で3000円。パーク最寄りの駐車料金は4000円。TDRの価格は、これまでが競合サービスと比較して割安であり、ようやく同等の価格帯になったともいえる。

 価格が上がることは、来場者にとって当然愉快なことではない。しかし、それによりアトラクションの待ち時間が減ったり、これまでより1つ多くアトラクションに乗れたり、駐車場待ちの時間がなくなったりすれば、来場者の満足度は向上するのである。
(文=牧田幸裕/信州大学学術研究院(社会科学系)准教授)

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年、日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科助教授。2007年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授。2012年、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 非常勤講師。2016年、長野市産業振興審議会 副会長。2018年7月より現職。
牧田 幸裕|note

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