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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(2月16日)

アマゾン、無料配送はなくなるのか?小売業、アマゾンとの死闘で膨大なムダ排除&利益向上

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授

●ラストマイル問題の解決方法

 そして、ここでオムニチャネル戦略の第3段階に入る。ラストマイルという用語を最近よく耳にする。もともとは電話などの有線通信サービス業で使われた言葉だ。幹線を構築するのは特に差し支えなくとも、一番経費がかかり問題となるのは、電話局(加入者局)から各家庭に線を引っ張るところにあるので、「最後の1マイル問題」という使い方をされる。同様に、ネット通販では物流センターまではよいとして、そこから客の自宅まで個別に荷物を配送するロジスティクスの問題が一番悩ましい。いかにして、あまり経費をかけずに、しかも早く届けられるかが成長のカギを握る。

 いま、ネット専業のアマゾンと大規模小売業とは、このラスト1マイルをめぐって戦いをくりひろげている。宣伝上手なアマゾンは、無線操縦する模型ヘリコプターのような「ドローン」を飛ばして、米連邦航空局の許可が下りれば15年中にも、物流センターから30分以内に配送するとPRしている。あるいは、都市部ではバイクを使って有料で1時間以内の配送、プライム会員なら無料の2時間配送テストも開始している。

 その一方で、大規模小売店はリアル店舗を使ってラストマイルの問題を解決しようとしている。Ship from Store(店舗からの出荷)だ。

 例えばウォルマートなら、Aさんが商品をウォルマートサイトで注文したとして、早く届けるためにはいくつかの選択肢がある。Aさんの自宅が物流センターから近ければ、そこから宅配業者を使って直接配送する。また、Aさんの自宅近くにX店舗がある場合、そのX店舗に在庫があればその日のうちに届けられる。ところが、あいにくX店舗に該当商品の在庫がない場合、次のような方法を取る。

(1)Y店舗からX店舗に届け、X店舗からAさん宅へ配送か、X店舗で受け取る
(2)Y店舗から直接配送
(3)物流センターから配送

 この3つの選択肢のうち、どれが最も安くかつ早くAさん宅に届けられるか、コンピュータが最適化分析をして1つの選択肢を指示してくれる。

 Ship from Store戦略においては、ウォルマートが4400店舗、メイシーグループ(メイシー、ブルーミングデール百貨店)が850店舗を物流拠点として、アマゾンの米国内に60以上ある物流センターと、コストとスピードで争っている状態だ。

ルディー和子/マーケティング評論家

ルディー和子/マーケティング評論家

早稲田大学商学学術院客員教授。
国際基督教大学卒業後、結婚・渡米を経て帰国、
米化粧品会社のエスティ ローダー社で働きながら
上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。
エスティ ローダー社ではマーケティングマネジャー、
出版社タイム・インク/タイムライフブックス社での
ダイレクトマーケティング本部長を経て、
マーケティング・コンサルタントとして独立、
自身の会社ウィトン・アクトンを設立
ルディー和子オフィシャルブログ

Twitter:@shouhigaku

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