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大企業や外資系、高い平均賃金のまやかしと悲惨な実態 「自分はスゴイ」人間の化けの皮

文=城繁幸/人事コンサルタント

●ポスト社名時代の成功者

 どんなキャリアにも一長一短あり、絶対的に恵まれたキャリアなど存在しないのです。確かに戦後の日本社会は、属する企業組織の格で賃金から社会保障水準まで決まる疑似身分社会でした。だからこそ、個人が属する社名はとても重要だったのも事実で、今でもその慣習を多くの人が引きずっているように見えます。

 ただ、すでに身分制度の恩恵は崩れつつあり、同じ組織であっても年齢によってまったく異なる処遇だったり、大企業であっても終身雇用が守られるとはいえなくなっています。いまや社名の時代ではないのです。

 では、代わりに何をもって成功の物差しとすべきでしょうか。個人のスキルとやりがい、報酬、働き方といった複数の要素を、個人の価値観に沿って上手にバランスを取っている人こそ、筆者は本当の“成功者”だと考えています。

●自分を素晴らしく見せたいだけの人を見分けるテクニック

 別の観点から付け加えておきましょう。筆者の経験から述べると、自分から「今とても幸せです、成功しています」といったアピールをする人は、えてして現実はそれほどでもないものです。Facebookでも一生懸命生活の充実ぶりをアピールしている人がたまにいますが、そうやって自分自身の士気を鼓舞しているのです。

 これは面接でもいえることです。本当に素晴らしい人材は、「自分を採用しないと御社が損をします」と思っています。人によって“上から目線タイプ”と“謙遜タイプ”がいますが、話してみると彼らはどちらも会社に入って活躍するプロセス、あるいはそれに対する報酬に関心があるという点で一致しています。

 一方、自分を素晴らしく見せたいだけの人材は、自分を採用したら会社はむしろ損をするとわかっており、自らがどう貢献したいかや報酬が多いか否かにはほとんど関心がありません。

 逆にいえば、面接で評価されたいのであれば、あくまでも「自分が入社後に一定の活躍をする前提で」前向きな質問をするのが基本です。よく面接で「残業は多いですか?」「有給休暇はもらえますか?」といった質問はNGだといわれますが、それによって自分が後者のタイプだと宣言するようなものだからです。

 この判別テクニックは、同窓会やFacebookでの近況報告にも使えます。例えば、同窓会で自分のキャリアのすごさについて滔々と語っている人がいた場合、「すごいね。ぜひ一度、当社のサービスについて話をしに伺いたい」と、思いっきり前向きでリスクテイクな質問を投げてみてください。本当に活躍している人物なら、他部署とのアポイントメントも簡単に取り付けてくれるでしょう。そうしてくれれば恐らく彼は(自慢したがりとはいえ)本当にすごい人でしょうが、戸惑った顔をしたり「じゃあ、また連絡するよ」と言いながら、それ以来連絡がない場合は「すごいと見せたいだけの普通の人」だと判断して間違いありません。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)

※本稿は、城繁幸氏のメルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」から抜粋・編集したコンテンツです。

【筆者プロフィール】

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●城 繁幸:人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。
ビジスパにて、メルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」を配信中。
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