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内紛続く富士通、派閥外から社長登用 独り負けのキリン、社長交代でビール業界争い激化?

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富士通川崎工場本館ビル(「Wikipedia」より/掬茶)
 今年は各業界の主要企業でトップが交代する。そして、交代の背景にはそれぞれの思惑と事情が透けて見えるケースも多い。今回は、そんなトップ交代の裏側を見てみたい。

●武田薬品工業


 昨年末、製薬業界を騒然とさせたのが武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長兼最高執行責任者(COO)の動静だ。海外の通信社が「世界3位の製薬会社であるフランスのサノフィが、次期最高経営責任者(CEO)候補にウェバー氏を挙げている」と報じた。しかし、ウェバー氏は報道を受けて、社員向けサイトで「私は辞めません」と社長を続ける意思を強調した。

 メガ・ファーマ(巨大製薬会社)のCEOなど、たとえ望んだとしても簡単になれるものではない。世界の医薬品売上高ランキングで見ると、武田薬品は10位にすぎず、普通の経営者の感覚であれば、打診があれば受けるのがセオリーだろう。武田薬品の社長になることが決まっていなかった(少なくとも公表されていなかった)1年前であれば、間違いなくサノフィのCEOを引き受けていたはずだ。

 ウェバー氏は、2014年6月に武田薬品の社長に就任したばかりである。長谷川閑史会長兼CEOは、ウェバー氏を今年中にCEOに昇格させる予定だ。ウェバー氏が「中長期にわたり、武田薬品のトップを務める」と表明したことで、グローバル化路線を推し進めてきた長谷川氏としては、ほっと胸をなで下ろしたに違いない。ただし、ウェバー氏がヨーロッパに戻るような事態になれば、長谷川氏の引責辞任にも発展しかねないだけに、今後の動向に注目だ。

●いすゞ自動車


 自動車業界では、6月で就任から8年になる、いすゞ自動車の細井行社長に注目したい。最近は部品子会社を統合したほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)と小型商用車の共同開発に着手するなど、経営課題にある程度のめどがついたといえる。

 いすゞは1971年以来、長年にわたってGMから出資を受け、実質的な親子関係にあった。しかし、GMの経営が悪化して、いすゞの株式を06年に売却したことで転機が訪れた。後ろ盾を失ったいすゞは親探しに動き、GMに代わってトヨタ自動車が5.9%の株式を取得した。

 しかし、いすゞのライバルである日野自動車はトヨタの子会社だ。これ以上トヨタとの関係強化が望めないと判断した細井氏は、11年に独フォルクスワーゲン(VW)と提携交渉したが、資本提携を迫るVWとは合意に至らなかった。

 そして14年、資本提携の解消から8年ぶりにGMと復縁を果たしたわけだが、資本提携には至っていない。近年は環境対応などトラックに求められる性能が高まり、いすゞの規模では単独で生き残っていくのは厳しい。次期中期経営計画は「ポスト細井氏」が担うことになるが、新しい経営体制がGMとの資本提携に踏み切り、元のさやに収まるかどうかに関心が集まっている。

●スズキ


 また、スズキの鈴木修会長兼社長の去就も注目されている。スズキは資本提携解消を求めてVWと係争中だが、この問題が解決すれば、鈴木氏は長男の鈴木俊宏副社長に社長の座を明け渡すだろう。ただし、その後も会長兼CEOとして生涯現役を貫き、同社のドンとして君臨し続けると思われる。