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『ムカつくことには合理性がある~若き老害・常見陽平が吠える』

嘘だらけのサラリーマンの「功績」 東洋経済オンラインを伸ばしたのは誰か論争の幼稚さ

文=常見陽平/評論家、コラムニスト、MC

 同記事によれば、前出の山田編集長へのインタビューをきっかけに、中川氏のところに以下のような意見が寄せられたという。

「記事はとても立派である。そこに異論はない」
「佐々木氏以降、PVが上がったとはいっても、佐々木氏の功績をもっと評価してあげても良いのでは」
「現体制が手柄の総取りをしている感覚がある」
「前任者の悪口を言ってるのはカッコ悪い」

 Twitter上では過激な発言が目立つ中川氏だが、意外にも(?)人に優しくバランス感覚のある男である。その彼の人柄がにじみ出た、バランスをとっているような、逆に言うと切れ味の悪いような、そんな記事になっている。

 これが、問題の概要だ。

●残念な佐々木氏信者の論点

 まず、中川氏のところに届いた声について考えてみよう。結論からいうと、彼のところに届いた意見は「記事はとても立派である。そこに異論はない」というもの以外、実に残念なものである。そもそも、彼らは記事のことをちゃんと読めていないし、解釈も論点もズレている。もっと言うならば、サラリーマンとは何かをまったくわかっていないと言える。一つひとつ検証していこう。

「佐々木氏以降、PVが上がったとはいっても、佐々木氏の功績をもっと評価してあげても良いのでは」
→そもそも「withnews」記事は、「東洋経済オンライン」の現在を捉えるためのものであり、佐々木氏の功績を取り上げる記事ではない。記事は「佐々木君時代はこうだった」「今はこうしている」という順番になっているのだが、そもそもそれは佐々木氏が取り組んだ仕事、試行錯誤という土台の上での話なので、リスペクトも含まれていると見るべきである。

「現体制が手柄の総取りをしている感覚がある」
→この批判は完全に的外れである。前任の佐々木氏も、現在の山田編集長も、冷たく言うならば、所詮サラリーマンだ。仕事とは世のため人のためするものだが、それは会社というステージの上で行われる。

 また、別に佐々木氏や山田氏だけが働いているわけではなく、編集部やサポートする部署、外部ライターなど、関わった人は多数いる。これは、みんなが蓄積していった仕事なのだ。手柄の総取りと言うならば、「東洋経済オンライン」時代の仕事を書籍化した佐々木氏も、「総取り」とは言わないまでも、みんなの仕事を自分の仕事としてアピールしてきたのではないだろうか。

常見陽平/千葉商科大学准教授、働き方評論家

常見陽平/千葉商科大学准教授、働き方評論家

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)後、株式会社リクルートに入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年より准教授。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。主な著書に『「就活」と日本社会』(NHK出版)や『「意識高い系」という病』などがある。
常見陽平公式サイト

Twitter:@yoheitsunemi

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