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水野誠「マーケティングの進化学」

「ガラケー対スマホ」は間違い?マーケティングの市場細分化で陥る罠

文=水野誠/明治大学商学部教授

 米国のマーケティングの教科書には、セグメンテーションには顧客セグメンテーションと製品セグメンテーションの2つがあると述べているものもあります(『Advanced Marketing Strategy: Phenomena, Analysis and Decisions, Prentice Hall』<Glen L. Urban & Steven H. Star/1990>)。ですから、製品で分けることをセグメンテーションと呼ぶことが100%間違いとは言いません。しかし、それだと誤った考え方に陥りやすい、と思うのです。

 製品セグメンテーションは、しばしば既存の製品分類に基づくことになります。前述の例でいえば、「ガラケー対スマホ」「iPhone対Android」といった区分を顧客のセグメンテーションと同一視すると、顧客と製品の関係を絶対視してしまうおそれがあります。ある顧客がガラケーを使っているのはなんらかのニーズを満たすため、あるいは、なんらかの知識や好みに基づいているのかもしれません。その選択は絶対的なものではなく、事情が変わると選択も変わり得ます。あくまで顧客の側にどういう心理があるかでセグメンテーションしないと、そこは見えてきません。

 一方、マーケティングでは製品・ブランド側の戦略として、ポジショニングを大きな柱としています。これは、自分たちの製品やブランドが誰と競争するのか(競争しないのか)を考えることです。ポジショニングとの混同を避けるためにも、セグメンテーションは顧客を分けることで、ターゲティングとはそこから狙う顧客を決めることだと理解しておくことが重要なのです。では、ポジショニングとターゲティングはどう関連するのか……。これを考え始めると、また新たな難問に直面することになります。次回は、それについて考えていきます。
(文=水野誠/明治大学商学部教授)

水野誠/明治大学商学部教授

水野誠/明治大学商学部教授

明治大学商学部教授
、博士(経済学)東京大学。1980年筑波大学第一学群社会学類卒業。1985年筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程修了。2000年東京大学大学院経済学研究科企業・市場専攻博士課程単位取得満期退学。株式会社博報堂(マーケティング局・研究開発局、1980~2003年)における勤務、筑波大学社会工学系専任講師、同大学大学院システム情報工学研究科専任講師、准教授(2003~2008年)、明治大学商学部准教授(2008~2014年)を経て現職

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