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大学入試大改革で大学間格差拡大か 脱暗記主義の落とし穴、進学校有利鮮明に

文=島野清志/評論家
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 すなわち上位の進学校ほど想定される変化のパターンを巧みに読み解き、素早く対応できるスタッフ、能力を備えているということだ。

 一見すると受験生に便宜を図っているように思える複数回のテストにしても、進学校の学生に有利に働きやすい面はある。従来の一発勝負型とは異なり、テストを何度も行えば運不運や試験当日の体調など能力外要素の影響は少なくなり、総じて試験慣れした層が優位に立つと考えられるからだ。すなわち選抜するシステムの精度が上がれば、現在の方式ではとかく生じがちだった番狂わせの可能性が低くなり、大学間の格差が広がることにもつながるだろう。

 もちろん今回の答申はあくまで素案であり、今後内容が改められる可能性はある。ただ内容をより吟味して、慎重に実施しない限り、現在の進学校の進学力やトップクラスの大学のブランド力をさらに高めることにつながり、現時点でも深刻化している教育格差をさらに助長することになりかねない。
(文=島野清志/評論家)

【高等学校基礎学力テスト(仮称)】

・目的 高等学校段階の基礎学力を評価
・対象者 高校2・3年生
・出題教科、科目 主として学力の基礎となる知識、技能を評価。実施当初は国語総合、数学1、世界史、現代社会、物理基礎、コミュニケーション英語1などの高等学校必修科目を想定(選択受験も可能)、英語等は民間の資格・検定試験も積極的に活用。各学校・受験者に対して成績を段階で表示
・解答方式 原則、多岐選択方式、記述式導入を目指す
・作問イメージ 全国学力、学習状況調査の高校教育レベルの問題を想定
・実施スケジュール 2019年度から実施する。年間2回程度実施して在学中に複数回の受験機会を提供

【大学入学希望者学力評価テスト(仮称)】

・目的 大学入学希望者に求められる学力を評価
・対象者 大学入学希望者
・出題教科、科目 主として思考力・判断力・表現力を評価(知識・技能は単独では評価しない)。「教科型」に加えて「合教科・科目型」「総合型」の問題を組み合わせて出題(将来は合教科・科目型、総合型のみとする)。多くの大学で活用できるように広範囲の難易度とする(選抜性の高い大学が活用できる高難易度の出題を含む)。英語は「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を総合的に評価(民間の資格・検定試験も活用)。大学および受験者に対して段階的表示による成績提供を行う
・解答方式 PISA型(知識・技能を活用して自ら課題を発見し、その解決に向けて探求し成果等を表現するための力を評価)の問題を想定
・実施スケジュール 2020年度から実施、年複数回実施

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