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大塚家具、クーデター&崩壊の裏側 父娘が容赦ない潰し合い、創業家内も泥沼紛争

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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「その実態は、営業利益を眺めならが、赤字になりそうなら年末商戦前だろうが新年商戦前だろうが、宣伝広告をやめてしまう。だから減収でもなんとか収益を上げることができているが、売り上げがなかなか伸びない」(大塚家具幹部)

●父娘の対立が顕在化

 そんな経営手法を勝久氏は許さなかった。14年7月23日に久美子氏は社長を解任され、平の取締役となった。勝久氏は社長を兼務し、経営権を奪取した。

 大塚家具の7月23日付ニュースリリースにはその理由について、「経営環境の変化を鑑み、機動的な経営判断を行うことを目的として、新たな経営体制へ変更するものであります」と記されているが、「14年上期の受注が大幅に減った。そこで勝久氏が陣頭に立ち、15年以降の業績を回復させた」(勝久氏の側近筋)。

 実はこの内紛劇の前段階として、一族の資産管理会社で大塚家具の10%の株式を握るききょう企画で紛争があった。ききょう企画は72年8月に勝久氏が創業した桔梗が母体であり、現在は5人の子供が18%づつ、妻・千代子氏が10%の株を持つ。

「勝久氏がききょう企画に大塚家具の130万株の株式を譲渡しました。ききょう企画はこれを買い取るために金融機関から15億円を借り入れて譲渡代金を支払ったわけですが、今度はききょう企画が銀行の借り入れを返済できるように、勝久氏が13年4月4日を期限として15億円の社債を引き受けたのです。しかし期限が来てもききょう企画からは返済がない。そこで同年10月28日に返済を求めたというわけです」(勝久氏側の弁護士)
 
 この時、久美子氏はききょう企画がもともと所有する59万株と130万株の計189万株の名義を自分名義に書き換えた。これが差し押さえを回避するための偽装だと、勝久氏側は主張しているわけだ。しかし久美子氏に近い関係者はこう反論する。

「これは事業承継のために130万株をききょう企画に移したのです。事実上の生前贈与です。だから子供たちは高い贈与税も払っており、15億円の返済についてもロールオーバー(再契約)の暗黙の了解があるというわけです」

 こうした返還訴訟が展開されている中で、勝久氏を支持するききょう企画の取締役で勝久氏の長男・勝之氏、監査役の妻・千代子氏が昨年1月に解任されている。ききょう企画に残ったのは久美子氏の兄弟姉妹で、取締役には5人兄弟姉妹のうちの雅之氏、舞子氏が就任、監査役には佐野(旧姓大塚)智子氏が就任した。大塚家具の10%の株を握るききょう企画を押さえる一方で、父だけでなく勝之氏と千代子氏を排除したかたちだ。この久美子名義の株が火種となり、勝久氏と久美子氏の対立はさらに激化する。

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