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もう死ぬほど働くしかない?ワークとライフの境をなくし、24時間仕事で年収2千万?

文=松井克明/CFP

成果主義の「プレジデント」

 また、「プレジデント」(プレジデント社/3月16日号)では、『世界初!お金に困らない「ピケティ」実践講座』という特集を組み、自己投資を提案している。

「今、私たちに必要とされるのは、日々の仕事の中に『rの力』を組み入れることではないだろうか」
「個人が持つ資産というのは、何も金融資産に限られる話ではないのだ。これまでのキャリアで得られたノウハウ、人間関係、知識など、あらゆるものが資産であり、それらを総動員することで、『自分』という資産から収益を得ていくという考え方がより重要になってくる」(ともに同特集より)

 同特集は、自身に投資してスキルアップすることを推奨している。

「rの部分は質的な部分(自分の価値を高めるための仕組み)であり、gの部分は量的な部分(労働時間)と考えてもよい。rの部分を継続的に上昇させる流れを確立することができれば、世の中の昇給スピードとは関係なく、自身の所得を拡大し続けることができるというわけだ」(同特集より)

 自己投資が大事とは、自己啓発的な特集の多い「プレジデント」らしい切り口だ。「r型人間」「g型人間」と二分し、生活習慣の見直しを提案する。

 例えば、仕事術ではこうだ。g型人間の仕事術は「進め方を考える前に仕事にとりかかる」「責任を負いたくない」「残業代で稼ぐのが目標」「熱意と気合いで売る」。これを「仕事を速く進める方法を考える」「責任を引き受ける」「成果を出すのが目標」「売る仕組みを考える」といったr型の思考に切りかえることが大事なのだという。

 r型人間、g型人間とはいいながら、よくありがちな「できる社員」「できない社員」の特集でしかないように思える。

「r型人間は(略)『仕事を効率化→時間的経済的に余裕ができる→自分のやりたいことに主体的に取り組む→ワークとライフの境目がなくなり、24時間が仕事に→仕事を効率化』というサイクルを持っているのだ」(同)

 こうしたr型人間は、年収2000万円以上になるというが、「成果を出すのが目標」「24時間が仕事」との論理は、単なる成果主義でしかない。

「プレジデント」は巻頭で、1月31日のピケティ氏の来日記者会見の内容も掲載している。この記者会見で、ピケティはある種の不平等を正当化する成果主義的な考え方を批判している。そもそも、r型人間は「プレジデント」の自己啓発的な特集を読むのだろうか。
(文=松井克明/CFP)

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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