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トヨタに異変、“異常な”経営体制へ 部品メーカー叩き上げ社員の役員起用、その裏の狙い

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トヨタ自動車本社(「Wikipedia」より/Chris 73)
 トヨタ自動車が3月5日に発表した2015年度の役員マネジメント体制によると、従来のトヨタの経営体制を大きく逸脱する異例の布陣となる。営業利益2兆7000億円、世界販売台数1000万台超の世界最大の自動車メーカー。かつては、閉鎖的なその企業風土から「三河モンロー主義」と呼ばれたトヨタが、グローバル企業に向けて一歩踏み出した。

 15年度の経営体制で注目されるのが、外国人副社長の起用と、女性の役員登用、そしてサプライヤープロパーの役員起用の3点だ。

 トヨタは副社長以上の取締役と、業務執行の責任者として専務役員、常務役員を置いている。新体制では、6人の副社長の1人としてディディエ・ルロワ専務役員の昇格を決めたが、同社が副社長に外国人を起用するのは初めてだ。同社単体の14年の世界販売台数は915万台で、このうち海外が759万台と海外販売比率は82%を占めるものの、これまで副社長以上の経営陣は日本人で占められてきた。

 グローバルな自動車メーカーでは、経営層の国籍を問わないのが普通で、米国系自動車メーカーの役員が欧州の自動車メーカーに移籍するなどは日常茶飯事だ。「経営層は日本人」とのこだわりを持っているのは日系自動車メーカーぐらいで、仏ルノーが筆頭株主の日産自動車を除けば、経営層は日本人で占められている。ただ、トヨタほどの規模で、しかもグローバル展開し、海外販売比率の高い自動車メーカーが日本人のみで経営層を占めるのは異常とみられていた。

 トヨタも数年前から外国人役員を登用する意向は持っていた。ただ、初の外国人役員として専務取締役だったジム・プレイス氏が07年に米クライスラーの副会長兼社長に移籍、外国人副社長を登用する機会を逃した。それから5年、トヨタは欧米の自動車メーカーでは一般的な他の自動車メーカー幹部からヘッドハントすることなく、外国人役員を育成してきた。副社長に就任するルロワ氏は、グローバルな視点から経営に関与すると見られる。

「女性の活躍」の印象付け狙う


 外国人と同じく、トヨタをはじめ国内自動車メーカーは、女性のマネジメントの活用に消極的だったが、トヨタは今回、トヨタモーター・ノース・アメリカのグループ・バイス・プレジデントであるジュリー・ハンプ氏を、トヨタ本体の常務役員に起用する。

 現在、米ゼネラルモーターズ(GM)のCEO(最高経営責任者)が女性なのは例外として、世界の自動車メーカーの経営層に女性が少ないのは事実。トヨタがハンプ氏を常務役員に昇格させるのは、安倍政権が女性の管理職比率アップなど、女性の活用を掲げることに配慮し、「女性の活躍」を後押ししている会社との印象付けを狙ったものとみられる。