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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(3月15日)

世界中のLCCがマネする航空会社の秘密 勝ち組ピーチ、マネの成功を導いた「喩える力」

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授

岐路に立つサウスウエスト航空

 イノベーションの研究で有名なハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセン氏は、「サウスウエスト航空は航空産業に破壊的創造をもたらした」と述べている。安い値段で自動車やバス、大手航空会社からも客を奪った。その結果、大手航空会社の破産や合併が相次いだ。

 航空産業に破壊的変化をもたらしたサウスウエスト航空は、大きく成長した。そして今、自らが岐路に立っている。業界再編成によって生まれたデルタ航空やユナイテッド航空のような大手航空会社は、国内外ともに張りめぐらされた路線を誇っている。加えて、下からはサウスウエスト航空を上手にマネした新興LCCが突き上げてくる。ジェットブルーの1座席1マイル当たりのコストはサウスウエスト航空よりも低く、料金もサウスウエスト航空を下回ることが多い。

 サウスウエスト航空は、14年にエアトラン航空を買収することを発表した。これが実現すれば、東海岸への路線数も増える。しかしそれには、混雑した空港も含まれ、エアトラン航空が所有しているボーイング717も利用するようになることを意味する。ビジネスモデルの基本4要素のひとつだった1種類の機体ではなく、2種類の機体を使うようになるのだ。また、エアトラン航空の社員が入ってくることによる、企業文化の変化も懸念される。発着が遅れないように、パイロットも機内の清掃を手伝ってくれるような社風を維持できるだろうか?

 イノベーションを起こした企業が成熟することで、普通の会社になってしまうのはよくあることだ。普通の会社になって新興企業の破壊的創造の波を受け、新興企業に取って代わられることも珍しくない。サウスウエスト航空は、今後も成長し続けることができるだろうか? もはや、模倣する先輩企業はない。成長し続けても、しなくても、サウスウエスト航空の今後10年の動向は、後輩企業にとっては参考にするべきビジネスモデルとなることだろう。
(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授)

ルディー和子/マーケティング評論家

ルディー和子/マーケティング評論家

早稲田大学商学学術院客員教授。
国際基督教大学卒業後、結婚・渡米を経て帰国、
米化粧品会社のエスティ ローダー社で働きながら
上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。
エスティ ローダー社ではマーケティングマネジャー、
出版社タイム・インク/タイムライフブックス社での
ダイレクトマーケティング本部長を経て、
マーケティング・コンサルタントとして独立、
自身の会社ウィトン・アクトンを設立
ルディー和子オフィシャルブログ

Twitter:@shouhigaku

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