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学習できないドコモ、巨額海外投資で4度目の撤退 印進出も秒殺 国際戦略が完全に頓挫

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 それだけではない。「サークルごとの周波数割当免許制が汚職の温床になっている」(同)との指摘もある。実際、インド最高裁判所は「周波数割当に不正があった」として、08年にインド通信当局が認可した122件の周波数割当免許を12年になってすべて取り消した。免許取り消しはキャリアの半数以上に及び、タタも免許の一部を取り消された。これを契機に、免許認可もそれまでの随意入札から競争入札に変更された。通信業界関係者は「キャリア各社の成長戦略は根本から狂い、免許取得コストが高騰し、各社の収益低下に拍車をかけた」と明かす。

 その影響を中堅キャリアはもろに受けた。タタの場合、12年度は723億円の最終赤字を計上、13年度の最終赤字は850億円に膨らんだ。この赤字拡大が響き、同社は14年3月時点で960億円の債務超過に陥った。タタへの出資を「グローバル戦略の巻き返し」と位置付けていたドコモに、インド事業を支える力はもうなかった。翌月、ドコモはインド事業撤退を決定した。

●効かなかった保険

 撤退は迅速に完了するはずだった。過去3回も海外投資で苦汁をなめ、撤退でも苦労したドコモは、それを教訓に万一に備えての保険をかけていたからだ。それはタタへの出資に際し、ドコモがタタ・グループとの契約書に盛り込んだ2つのオプション条項だった。

 1つ目は、タタへの出資比率を12年に当初の26%から35%へ、14年には51%へ2段階で引き上げるコールオプション(増資権)。2つ目は、12年にコールオプションを行使しない場合は、14年に全保有株をタタ・グループに譲渡するプットオプション(売却権)。

 この契約に基づき、ドコモは2つ目のオプションを行使しようとした。ところが交渉巧者のタタ・グループはさまざまな理由を挙げてドコモ保有株の買い取りを拒み、頼みの保険も効かなかった。あとはロンドン国際仲裁裁判所の判決が出るまで、インド事業の損失拡大を、指をくわえて見ているしかない。「先進国の失敗を、成長著しい新興国で取り返す」(ドコモ関係者)はずの国際ビジネスがまたも空回り、巨額負債を背負い込む結果に終わった。

 1月29日に発表された15年3月期第3四半期(14年4-12月)連結決算の営業利益は、前期比14.7%減の5871億円。昨年6月に開始した新料金プランの失敗が響いた。同社にとっては、まさに内憂外患といったところだ。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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