ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 江東区、なぜ爆発的人口増で窮地?  > 2ページ目
NEW

江東区に異変 なぜ爆発的人口増で窮地?小中学校や高齢者施設が足りない!

文=小川裕夫/フリーランスライター
【この記事のキーワード】, ,

 千代田区港区と比べると、同じ臨海部でも江東区の不動産価格は3割ほど安い。安価な不動産価格という要因に加え、06年に豊洲に「アーバンドック ららぽーと豊洲」がオープン。これまで、江東区の湾岸エリアは工場や倉庫といった工業エリアであり、生活するには便利とは言い難かった。ところがアーバンドックが起爆剤になって、豊洲エリアには商業施設が集積。ニューファミリー層が次々と転入する人気のエリアに変貌。隣接地区にも、波及している。

「江東区の人口増加は豊洲だけが語られやすいのですが、決して豊洲だけの現象ではありません。工場跡地などが再開発されたことで、高層マンションが建設されている亀戸や有明、南砂といったエリアでも人口は急増しています」(江東区企画課)

 江東区役所では今年中に人口50万人を突破すると見込んでおり、29年までの長期計画でも人口は58万5000人に増えると予測している。

急激な人口増が生む、新たなゆがみ

 ほかの自治体から見れば、江東区の人口急増現象はうらやましい限りだろう。しかし、人口が増加することを手放しで喜んでばかりはいられない。急激な人口増は新たなゆがみを生じさせた。

 江東区の人口増は、出生率の上昇で起きた自然増ではない。ほかの自治体からの転入者によって人口が増加した、いわば社会増だ。江東区で暮らす夫婦のもとに子供が生まれ、その結果の人口増であるならば、それほど問題にはならない。だが、転入者となると、事は簡単ではない。

 ニューファミリー層が転入してくる場合、その多くはすでに小学生や中学生を抱えている。大人と違い、子供たちは引っ越し翌日から学校に通わなければならない。これが出生率向上による人口増なら、出生から小学校の入学までには約6年の時間的余裕があるため、行政はその間に学校を整備することが可能だ。しかし転入者だと、そうはいかない。

 転入者の増加を受けて、江東区は急ピッチで小中学校の新設や増設を行ったが、受け入れ体制は人口の爆発的増加に追いつかなかった。

「人口の増加は自治体の活力になるものですから、基本的には歓迎すべきことです。しかし、受け入れる行政側にもインフラ整備などの責任があります。江東区では人口の急増に対応が遅れてしまい、受け入れが困難になりました。そこで、03~07年までの4年間、条例で人口増を抑制する『受入困難地区指定制度』を制定し、マンション建設を抑制したのです」(江東区企画課)

江東区に異変 なぜ爆発的人口増で窮地?小中学校や高齢者施設が足りない!のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!