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三井不動産、ニューヨーク巨大ビル開発 秘められた世界規模の野望 三菱地所と競争激化

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三井不動産が手掛けた「COREDO日本橋」(「Wikipedia」より/Kakidai)
 世界屈指の商業地区、米ニューヨーク・マンハッタンで三井不動産が存在感を高めようとしている。再開発プロジェクトに参画し、51階建ての高層ビルを開発する。総事業費は1500億円。日本の不動産会社による海外ビル開発では過去最大規模となる。

 三井不動産は米不動産大手リレイテッドがニューヨークで進める、全体で11ヘクタールの大規模な再開発プロジェクト「ハドソンヤード」の一角を担う。共同事業者のリレイテッドなどと特別目的会社(SPC)を設立し、三井不動産が約9割を出資する。ビルは中心部の繁華街タイムズ・スクエアに近い場所で、商業施設の跡地に建てる。敷地面積は約4000平方メートルで、延べ床面積は米国でも最大級の約12万平方メートル。立地条件や使い勝手の良さを前面に打ち出し、賃料は1平方メートル当たり1万2000円と、周辺ビルよりも約1割高く設定する計画だ。コーチやロレアルアメリカ、SAP、タイムワーナーなどのグローバル企業がオフィスに入居する予定。2018年の完成を目指す。

「ハドソンヤード」は、約20棟の高層ビルやマンションなどを建設する計画。三井不動産は今後もプロジェクトへの参画を検討する。

 今回の米国プロジェクト参画は、三井不動産が掲げるグローバル事業「イノベーション2017」の一環。12年度から17年度までの5年間で5000億円を海外に投資する方針だ。昨年3000億円の公募増資を実施し、借入金を含め7000~8000億円の投資余力がある。同社の海外資産(14年3月期)は3400億円と全体の7.5%にとどまり、実態は内需企業だ。「企業や人のボーダレス化が進むなか、海外投資の拡大は必然的な流れ」として、海外事業に5000億円を投資する計画で6割を欧米に振り向ける。

 ニューヨークでは13年、地元デベロッパーとの共同出資で318戸・42階建てのタワーマンションの建設に着手。「160 マディソン」と名付けた計画はマンハッタンの主要オフィス街、ミッドタウンへ地下鉄を使えば4分の好立地で15年秋に竣工する。

 さらに14年12月、英国の世界有数の金融街であるロンドン・シティの中心地で、24階建ての高層オフィスビル「1 エンジェルコート」の新築工事に着手した。竣工は16年9月の予定だ。ロンドンでは3つの物件がすでに竣工済み。スイスの大手銀行チューリッヒ、オランダの大手銀行アイエヌジーバンクなど、欧州を代表する金融機関と長期賃貸契約を結んだ。これらはロンドンで有数のデベロッパーとの共同事業だ。そして「イノベーション2017」の最大の案件が、ニューヨーク・マンハッタンでのビル開発である。

●「日本橋再生計画」のノウハウを活用


 三井不動産が大型投資に踏み切ったのは、「日本橋(東京)再生計画」が成功したからだ。三井グループの源流、越後屋発祥の地・日本橋は、かつては日本の文化、経済の中心地として栄えた。現在も老舗が軒を並べるが、賑わいは消えた。ITなどの新興企業は六本木や渋谷に集まり、日本橋は「黄昏の街」といわれた。