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大阪桐蔭高、5億円裏金発覚 尋常ではない金満体質で訴訟&不祥事連発 やらせ受験も

文=井上久男/ジャーナリスト
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 裁判になる前には、この問題にクレームを付け始めた親の職場に、大阪府警から学校法人に天下りしている元刑事を出向かせ、「これ以上騒ぐと娘さんの就職がどうなっても知りませんよ」と恫喝に近い行為にも出ている。

 前述した「やらせ受験」に関して混乱の責任を取って大阪産業大学の本山美彦学長も辞任に追い込まれ、後任には法人創業者の孫である瀬島順一郎氏が再登板したが、教員から「リコール運動」を起こされる始末で、就任から1年も経たない14年6月6日付で辞職届を提出した。わずか1年間に学長が2人も任期途中で辞職する異常事態だった。

●望まれる文部科学省や大阪府による徹底した調査

 14年は、法人トップの理事長である土橋邦芳氏(当時)と重里政司・常務理事事務局長(同)の激しい対立も顕在化した。法人運営の実務は事務局長が取り仕切っていたが、「増長した重里氏が独断で後輩の警察OBを職員に採用し始め、『俺が理事長代行だ』と言って土橋氏をないがしろにするようになったため、関係が悪化した」(法人関係者)そうで、職員の前で激しく口論することもあったという。重里氏は大阪府警で警察学校長などを務めた元警視正。定年後に天下ってきた。「横暴極まりなく、教育の場である学園を恐怖政治に陥れた張本人」(学校法人元役員)との指摘もある人物だ。

 土橋氏との対立を生んだ理由は、09年に発覚した資産運用失敗の責任者の一人だった経営学部教授(運用当時は常務理事)の責任を問い、重里氏が理事長の決済印を勝手に押して5年後にもなった14年3月に突如懲戒免職にしたことだ。元常務理事は、今頃になっての解雇は「突然で不当だ」として大阪地裁に提訴した。

 温厚な土橋氏もさすがに堪忍袋の緒が切れて、重里氏の常務理事職を14年4月25日付で解任、法人本部事務局サテライト事務局サテライト長に異動させた。この混乱のため、土橋氏は5月末に退任する予定だったのが任期を約1カ月延ばす異例の事態となった。

 後任にはガバナンスの強化と改善のために、元検事総長で顧問弁護士だった土肥孝治氏を14年7月4日付で新理事長として迎え入れた。元検事総長を理事長に据えたことで、学園内の「浄化」は進むと見られ、今回の第三者委員会や大阪桐蔭会計処理対応委員会の設置など対処の動きは早い。

 しかし、この学園の「闇」は深い。さらなる文部科学省や大阪府による徹底した調査が求められるだろう。
(文=井上久男/ジャーナリスト)

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