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新将命「ビジネスの原理原則」

大塚家具、不協和音は続く 信頼関係の欠如と傲慢、失敗する企業の典型例

文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長

大塚家具、内紛の原因

 ここでひとつの各論を考えてみよう。

 3月27日に大塚家具の株主総会が開かれ、ここ数カ月間世間を騒がせていた父娘対決は娘・大塚久美子社長側の勝利に終わった。久美子氏ら10人を取締役とする会社提案が議決権株式で61%の賛成を得て、父・勝久会長の株主提案への賛成は36%にとどまった。

 大塚家具を、このABCを使ってみてみよう。

 立派な企業理念(Belief)はある。「お客様に喜んでいただき、社員に喜んでもらい、結果として会社が繁栄する。すべての社員がこの理念の実現に向けて日々取り組んでいます」。Belief(企業理念)が成文化されているという面では合格点を付けられる。

 では、醜い内紛の原因はなんなのか。問題は以下の3つある。

(1)企業理念という信念(Belief)はあっても、社員、特に経営者間に信頼関係というBeliefがない。
(2)父娘それぞれが自説に固執して一方的に言い募るだけで、相手の意見に耳を貸すという謙虚な気持ちがない。つまり傲慢(Arrogance)である。
(3)顧客戦略をどう変えるか、という変化(Change)の内容に対する考えが根本的にすれ違っている。

 そこで冒頭の松下氏の言葉に戻る。「失敗している会社はなぜ失敗しているのか。失敗するようにやっているからだ」。経営者間の信頼関係の欠如、傲慢、変化に対する考え方の不一致。このABCにメスを入れない限りは、大塚家具の不協和音は続くことだろう。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)

新将命

新将命

株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど、グローバル・エクセレント・カンパニー6 社で社長職を3 社、副社長職を1 社経験。2003 年から2011 年3 月まで住友商事のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。「経営のプロフェッショナル」として50 年以上にわたり、日本、ヨーロッパ、アメリカの企業の第一線に携わり、今もなお、さまざまな会社のアドバイザーや経営者のメンターを務めながら長年の経験と実績をベースに、講演や企業幹部研修、執筆活動を通じて国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。

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