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富める者は富み、格差は助長される――SNSは最貧困女子の売買春をどう変えたのか?

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【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――最近注目を浴びる「最貧困女子」なるキーワード。仕事を失い、家を失った女性の中には、売春に活路を見いだす人もおり、組織的に売春を行う「援デリ」に身を寄せる人もいる。そこではスマホ、SNSが顧客を獲得する上で重要な役割を果たしているようだが、格差も生まれているという。評論家の荻上チキ氏と、ルポライターの鈴木大介氏にSNSで変わる売買春について話を聞いた。

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(写真/下屋敷和文)

鈴木 まず、援デリの世界では今でもガラケーを使う業者が多いですが、スマホとLINEを活用する人も増えてきました。複数の顧客と継続的にやりとりする場合、LINEだと過去のやりとりを相手別に閲覧するのが楽だし、ガラケーよりも入力中の着信にも対応しやすい。ガラケーで出会い系サイトから客を拾って、スマホのLINEに誘導……という併用をする人もいます。

荻上 マルチタスクで管理できるところはLINEの魅力です。僕が追っているのは援デリ業者ではなく個人でワリキリ(売春)をする人ですが、スマホに変えたコは「コピペの文字数制限がなくなって楽になった」と口にしていました。あと、出会い系サイトでのメッセージのやりとりでも、LINEのIDが交換されるようになってきている。090~といった携帯電話の番号は業者側の規制で送信ができないケースが多いですが、LINEのIDなら規制にかからずに送ることができる。

鈴木 LINEの登場は、出会い系サイトの運営業者にとっては悩ましい問題でしょう。今は売春も過当競争の時代になり、援デリ業者も個人売春する女のコでも、一度利用した男性をリピーターとして囲い込もうとする。その顧客管理をLINEで行って、ある程度のお金を稼げてしまえば、出会い系サイトの利用は減っていきます。一方で援デリ業者の女のコが、LINEで客を直引きすることもありますが、業者もそこはわりと放任です。女のコが直引きしても、業者が仲介に入っても違法は違法ですし、女のコと仲たがいして警察にでも行かれたら、業者自体が終わりですからね。

荻上 一方で出会い系サイトの利用自体がなくなっているかというと、そうでもない。 大手サイト3つ、通称"御三家"と、中堅どころサイトの3つ"新御三家"は相変わらず健在で、男性も女性も利用者は今も多い印象です。変化といえば、多くの出会い系サイトがアプリ展開を始めたこと。ただし、iPhoneアプリでは、審査にかからないようにアダルトの記述などは一切ありません。そのため、少し前まではどこも閑散としていた「健全系」掲示板が、それなりに人が増えてきました。収益モデルも変化しました。

鈴木 写メコン(編注:写メコンテスト。自分の顔写真をアップし、評価してもらうサービス)なども、かなり盛り上がってますからね。大手の出会い系サービス「ワクワクメール」や「ハッピーメール」のアバターが使えるSNSコーナーも、最近はかなり賑わっている。売春ツールとして使うユーザーとSNSユーザーの両方が、出会い系サイトを使うようになったわけですが、両者はオーバーラップしません。売春行為が行われていることを知らずに、そういうアプリを利用している人も多いと思います。

荻上 インターフェースが完全に違うので、iPhoneアプリから入るとアダルトの部分にはたどり着けません。完全に棲み分けています。スマホでもブラウザソフトを立ち上げて、そこから入れば見ることはできます。出会い系サイトは、今もガラケーのほうが使いやすい設計というのは面白い。

鈴木 援デリ業者いわく、ガラケー仕様はテンキーのショートカットが非常に便利だとか。個人でやってるコは、そもそもスマホを買えるどうか、毎月の料金プランに耐えられるかどうかという問題もあります。そういえば援デリ業者が女のコに第三者名義の携帯を貸し出す場合も、渡すのはスマホじゃなくてガラケーです。

荻上 ガラケーは安くて丈夫ですからね。スマホであれば待機中に遊べるアプリもあるし、可愛いカバーも多い。女のコとしては嬉しいことは多いはずなんですが、本当に最貧困と言えるような状態の人はスマホを買えない。売春を始めてそこそこ稼いで買ったものの、「使い方わかんなーい」ってコもいます。

鈴木 ガラケーに戻るコも実際にいますね。スマホを買っても『ツムツム』(ディズニーキャラのパズルゲーム)をやってるだけだったりして、売春業にまったく活用できないコもいるし。家出して路上生活状態から売春を始めたコの場合だと、知識の面でもスマホを使いこなすのは厳しい。

荻上 といっても、親元に住んでるコとか、風俗や水商売出身の人で、貯金もあったりするコは、普通にスマホを持っていますよ。

鈴木 売春をやる女のコの中でも、格差は確実に広がってきてる感じがしますね。

荻上 僕が「週刊SPA!」(扶桑社)で毎年やっているワリキリ女性100人アンケートの2015年分の結果では、「お金が楽に手に入る」「いろんな人と出会えて楽しい」みたいに、ワリキリにポジティブなイメージを持っている人も2割くらいいる。「手っ取り早い」という子も2割。キラキラした生活を送っている人もいれば、特に何も思わないという人、本当につらくて死にたいという人もいる。受け止め方の格差もありますね。

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