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中高生の支持を受けながら、ネットでは"イタい"の大合唱!? 人気"厨ニ病"バンド・セカオワとは何者か

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【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――アイドルとEXILEが席巻するJ-POPシーンで、健闘しているバンドがある。2011年にメジャーデビューを果たし、以後破竹の勢いで人気を伸ばしている、SEKAI NO OWARIである。10代を中心に熱い支持を集めている半面、ネット上では批判や揶揄も多く、その人気の理由はいまいち大人にはわかりづらい。"厨二病"とすら呼ばれる彼らの中身を、徹底分析してみよう。

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「ロッキング・オン・ジャパン」や「MUSICA」のような音楽専門誌の表紙も飾り、同時に「オリスタ」(オリコン)のようなJ-POP専門媒体でもカバーをつとめる、その幅広さが支持と同時に嫌悪も買っているのだと言えそうだ。

 7月にオリコンが発表した2014年度上半期アーティストトータルセールスで、前年度比60位上昇という躍進を遂げたバンドがある。東京都出身、男性3人女性1人からなるバンド「SEKAI NO OWARI」(以下、セカオワ)だ。総売上6億870万円(CD+DVD)で75位に留まった13年度から一転、総売上10億8000万円で15位にランクアップを果たした彼らは、いま音楽業界内外で注目を集める存在になっている。

 2011年のメジャーデビュー以降、シングル6枚+アルバム1枚と決してCDリリースは多くないが、今年1月にJR東日本の冬の恒例「JR SKI SKI」キャンペーンのタイアップソング「スノーマジックファンタジー」で初のオリコンウィークリー1位を獲得し、同月には『情熱大陸』(TBS)に登場、反響を呼んだ。5月からは楽曲のみならず当人たちもトヨタ「ラクティス」のテレビCMに出演し、コアな音楽ファン以外にもその存在が浸透しつつある。この8月には、今春のツアーの裏側を追ったフランス人監督による初のドキュメンタリー映画『TOKYO FANTASY』の公開も控えている。ミシェル・ゴンドリーと同じ映像制作プロダクションに所属する気鋭の映像作家の手による、バンドの制作の裏側や世界観の読み解きが予告されているとあって、ファンの間ではその公開が心待ちにされているのだ。一方で、12年にレコード大賞優秀アルバム賞を受賞した1stアルバム『ENTERTAINMENT』は100週連続チャートインを続けており、瞬間的なブレイクではない、安定した支持を得ていることがうかがえる。

 Fukase(ボーカル)、Saori(ピアノ)、Nakajin(ギター)、DJ LOVE(DJ)という4人編成の彼らの楽曲は、どちらかというと等身大の悩みやラブソングを歌うのではなく、夢の中やサーカス、RPGなどの虚構的な世界を舞台にしたファンタジックな世界観が特徴。コンサートも同様で、「制作費5億円」という数字がニュースになった昨年の単独野外イベント「炎と森のカーニバル」では6万人を動員し、その様子を収めたDVDは、上半期DVDセールスランキング10位(6・3万枚)につけている。昨年末には「紅白歌合戦」内定の報道が出ながら実現しなかったのも、「大掛かりなセットを組もうとして、NHKサイドと話がまとまらなかった」ためだという説がまことしやかに語られており、10代を中心に、そうした世界観やこだわり方に心酔するファンが多い。

自己陶酔的すぎる素振りに近田春夫も思わず批判

 だがしかし、称賛と同じくらい、批判や揶揄も多く向けられている。むろん売れているミュージシャンがそのぶん"叩かれる"のは珍しいことではないが、それにしても彼らに対する風当たりは妙に強いのだ。そうした批判を主に目の当たりにできるのはネット上で、その大半は「バンド名も世界観も奇をてらい過ぎて滑ってる」「自意識過剰っぽくて気持ち悪い」「厨二病すぎて受けつけない」といったものである。

 この「厨二病」という言葉には今やさまざまな定義や意味合いが存在しているが、否定的な意味合いを持たせたネットスラングとして使われる場合は、思春期に誰もが考えるような「世界(=社会)と折り合いのつけられない自分」という意識への陶酔からくる厭世的・反社会的な思考の滑稽さを指し示し、「創作物の評価においては『身の丈に合わない壮大すぎる設定や仰々しすぎる世界観を持った作品』が対象となり、次第に転じて『非現実的・特殊な世界観や設定そのもの』を揶揄・否定するための言葉」(ニコニコ大百科)といった捉え方をするのが正解だろう。

 確かに彼らの歌詞はファンタジックであると同時に、時として「世界平和」や「正義と悪」といった二元論に及び、インディーズ時代から 「白い病院で『死んだ』僕達の子供は 『もうこの世界にはいない』のになんで何も感じないんだろう」(「幻の命」)

「『いじめは正義だから 悪をこらしめているんだぞ』そんなふうに子供に教えたのは僕らなんだよ 大人vs大人の正解・不正解のバトル TVで子供らに教える『ダレが"間違って"るか』」(「天使と悪魔」)

 などと歌っている。さらにメジャーデビュー以降も、「いつしか君は信じてる、悪は滅ぶべきだと思ってる 自分の中にある正義をもって悪を滅ぼすことの『意味』を信じてる せいぎせいぎせいぎせいぎ…の中にあるたくさんの"ギセイ"を君は絶対疑わない」(「Death Disco」)

「『世間』という悪魔に惑わされないで 自分だけが決めた『答』を思い出して(中略)僕らはまた出かけよう 愛しいこの地球を」(「RPG」)

 など、よくいえば純粋、いささかナイーブ過ぎる内容が多く、まさに「厨二病」と捉えられそうである。

 ネットの匿名批判だけでなく、プロの音楽批評家からもそうした指摘はなされている。近田春夫は「週刊文春」(文藝春秋)の連載「考えるヒット」にて、ミュージシャンの自己陶酔について語りながらセカオワのシングル「眠り姫」のMVに関して、

「なにより印象に残ったのがフロントに立つ男の子の目の使い方やちょいとした仕草である。てかどうしても楽曲より彼の意識のほうが強く伝わってきてしまうのだ。その大意(?)を翻訳すれば、こんなカッコイイ曲を作って歌もうまくてルックスもいい僕ってどーよ?と書いてしまっては身も蓋もないが、要するに『みんな僕に注目してよ』という気配をものすごくさりげなくしかし決して迷うことなく撒き散らしているように映るのである」(12年6月21日号)と記している。

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