NEW

競馬界の行政で躍進した? 大レースではイマイチだった福永祐一騎手“好調の秘密“

【この記事のキーワード】

,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2015_premium02.jpg
JRA公式HPより

 卓越した騎乗技術を持ち、勝率、連帯率ともにJRA所属騎手の中では現役トップクラスの数字を残す一方で、13年のエピファネイアでのダービー2着など、こと大レースにおいては勝負弱さも目立つ福永祐一。昨年はJRA全国リーディング4位に甘んじていたものの、3月25日の段階で早くも36勝を挙げ、リーディングトップを快走中。96年に騎手デビュー後、00年以後は常にリーディング上位を確保。13年には131勝で念願の全国リーディングトップにも輝いた。

 しかし、なぜか福永に"上手い"イメージを持つ者は非常に少ない。栗東トラックマンがいう。

「『福永が勝たせた』と思わせるレースの印象がない。最近、中山記念で岩田康誠騎乗のヌーヴォレコルトが強引にインを突き抜けましたが、誰もが『岩田だからこそ』と思ったでしょう。一方、福永は誰でもソコソコは納得させられる乗り方をする。いい位置に付け、とりあえずミスはしていないと思わせる騎乗。勝つには勝つのですが、ここ一番の勝負どころで弱いイメージもある」

 岩田、戸崎圭太、川田将雅といった、腕っぷしで馬を持っていく剛腕タイプに追い負けし、特に大レースはわずかの差で勝利を逃すことも多い。昨年ならマイルチャンピオンシップを思い浮かべる競馬ファンも多いだろう。

「福永が騎乗したフィエロはゴール寸前で、岩田騎乗のダノンシャークにハナ差負け。福永の誘導はゴール間際まで岩田よりも完ぺきだっただけに、〝追い負け〟という言葉がピッタリでした。とくに勝ったダノンは福永から岩田へ乗り変わりだっただけに、馬主サイドも『乗り替わらなければ…』と漏らし、福永とともにショックを受けていた」(前出の栗東トラックマン)

 暮れの有馬記念でも〝世界ナンバーワンホース〟ジャスタウェイに乗りながら仕掛けが遅れて4着。馬主サイドやファンからも批判を浴びていた。だが、そんな福永にクラシックシーズンを迎えて牡馬の有力馬が殺到する事態に。本人のモチベーションもすこぶる上がっているという。

弥生賞を圧勝し、ほかに東京スポーツ杯2歳Sを制し、3戦3勝の無敗を誇るサトノクラウン。そして、22日のスプリングSでは2着に敗れたものの、負けて強しのレース内容を見せた3戦2勝のリアルスティールだ。

 なぜ"勝負弱さ"を見せる福永に有力馬が集まるのか?

「サンデーレーシングに気に入られている福永は皐月賞でリアルとのコンビが決定済みです。サトノとリアルという怪物と呼ばれる2頭で結果を出していますが、“社台帝国”のなかではリアルの方が上と判断されています。昨年、ハープスターの騎乗ぶりで社台帝国の川田への評価がガタ落ちし、ドバイの鞍上もムーアに乗り替わる。ミルコ・デムーロとクリスチャン・ルメールが通年免許を取得したこともあり、社台帝国において川田の優先順位はさらに下位に。そして、勝負強くはあるけど、地方出身で騎乗ぶりが荒く性格も難がある岩田も好かれていないし、ジェンティルドンナ乗り替わりの一件で、サンデーレーシングとの相性はさらに悪化。社台帝国の日本人主戦ジョッキーにすることに反対派が多い。その結果、『社台帝国の日本人主戦ジョッキーはユーイチ』と押し出される格好で猛プッシュされている」
 
 そして、この福永プッシュを後押ししているのは騎手のスケジュール調整や騎乗馬の手配などを行う「エージェント」(騎乗依頼仲介者)の存在だ。

 鞍上は馬主の意向もあるし、もちろん調教師が最終決定権を持つ。しかし、トップジョッキーほどすぐにスケジュールが埋まり、依頼できない状況が生まれる。騎手を確保できない調教師は馬主の信用を失うことになりかねない。その結果、多忙を極める調教師はスケジュールを把握しているエージェントに鞍上をお任せしてしまう事態が生まれている。

 一方、エージェント側はその状況をいいことに抱えている騎手で有力馬を回すようになった。岩田、福永、四位、川田ら有力ジョッキーを抱えてきた元競馬ブックの小原靖博氏は現在のエージェント制度を確立したといわれる。「小原軍団」とまで呼ばれ、抱えられたジョッキーたちは有力馬に乗り続けて好成績を収めてきた。

「しかし、小原軍団のやり方への批判が起こり、JRAは『エージェント1人につき、担当騎手3人&若手騎手1人』という制約を設けた。そこで、小原氏は川田を競馬ブックの井上政行氏に“譲渡”。小原と井上の関係は良好とは言っても、頂点の小原軍団から抜けた後、最近の川田の停滞(3月20日時点、全国リーディング16位)は無関係ではないでしょう。しかし、小原ら有力エージェントも新たな〝提携〟という形を作り出した」
 
 小原軍団はブック仲間の井上政行氏(川田、岩崎翼)、豊沢信夫(浜中俊、城戸義政)ら他の有力エージェントと対立するのではなく、良好な提携関係を結びながら自分たちエージェント同士で有力馬の回しているのが実態だ。
 
 本題を福永に戻そう。現在、エージェントの頂点にいるのが小原軍団とすれば、小原が抱える騎手でもっともプッシュしたい騎手が誰になるかはお分かりいただけるだろう。そう、福永である。社台帝国と密接な関係を持っている小原としても、社台帝国のお気に入りではない岩田をプッシュするよりも、社台帝国から気に入られている福永に大レースを勝たせて岩田のような勝負強いイメージを付けさせる方が今後にプラスなのは間違いない。

「これからも日本に腕の達者な外人ジョッキーが入れば、小原軍団の未来も危ういですしね。今年の流れを言えば、社台軍団はサンデーレーシング所属で、福永鞍上のリアルスティールにクラシックを総なめさせたい意図が見え隠れしますよね。3冠ジョッキーになれば、小原にとっても万々歳でしょう。福永も昔の目標は武豊でしたが、数年前から岩田に大いに刺激を受けて筋力トレーニングに励んだり、目標の騎手に挙げているほど。岩田も福永に色々と教えていますしね。元々、馬への当たりの柔らかさには定評があるし、最近の川田の評価急落もあって、今年はユーイチの年になりそうです」
 
 同じ「小原軍団」の岩田も陰では「今年はユーイチの年や」と早々に漏らしているというから、ここまでの絶好調ぶりは予想通りといったところか。