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「被害者が善、加害者が悪」は正しい?“1億総記者時代”の商業ジャーナリズムへの疑問

文=横山渉/ジャーナリスト
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 日本は「正しい」ということがすごく好きなのだと思います。そして、自分は常に正しい側にいる、「かわいそうだから正しい」などと理屈づけたりもしますし、自分の意見を、「ツイッターでも誰かが同じことを言っていたので正しい」とする理論もあります。しかし、この「正しい」を突き詰めていくと、なんら論理的根拠がありません。

「あなたが言っていることは本当に正しいのか」といった考察を、小説だからより深く踏み込めるのです。視点を変えて、それぞれの立場で思考すると、どちらが良くてどちらが悪いのかわからなくなります。これだけ社会が複雑になってくると、加害者と被害者が逆転することだってあるわけです。そのため、今回はその部分にはあまり踏み込んでいません。

–ミステリーの部分で、謎解きのプロットは最初から頭の中にあったものですか? それとも、書きながら考えて作り込んでいくものですか?

真山 本作では、もともと逃亡犯の謎が物語の肝となるので、始めにかなり試行錯誤したぶん、書きながら予定よりも大きく変更したという点はありませんでした。しかし、普段執筆しているときは、準備した謎を盛り込んで書いていても、途中でもっと面白い解決策があると気づけば、その謎をいったん解き明かした上で「実はコレではない」といった具合に展開することはあります。

 私自身ミステリーが好きですし、常に謎があり、謎をエンジンのようにして引っ張りながら話を展開すると、読者に手を止めずページをめくり続けてもらいやすくなります。

 被災地が舞台で、テーマが重い本作でも、記者が葛藤ばかりしている暗いルポのような小説にはしたくありませんでした。やはりどの作品でも、小説としてのエンターテインメント性、時間を忘れて読み進めたくなるという部分を追求していきたいと思います。

–ありがとうございました。
(構成=横山渉/ジャーナリスト)

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