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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月14日)

ネットは生産性を上げなかったどころか、個人の時間を奪い、一握りの企業にしか富を与えず

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「Thinkstock」より
 いま、ロボットに注目が集まっている。といっても、ソフトバンクのペッパーのような人間の形をしたおしゃべりロボットではない。私たちは手塚治虫原作のSF漫画『鉄腕アトム』以来のコミックの影響を受けてか、ロボットというと、つい人間型のヒューマノイドロボットを思い浮かべてしまう。だが、いま第四次産業革命をもたらすと期待されているロボットは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を備えた機械、器具、装置と考えたほうがいい。

 人類の歴史上4回の産業革命を、それぞれ象徴するキーワードでまとめれば、18世紀末の第一次産業革命は蒸気機関、次いで18世紀末から20世紀にかけての第二次産業革命は石油、化学、そして電化(電気の利用)。1970年代からの第三次産業革命はコンピュータやインターネットに代表されるデジタル革命。そして、いまロボットが第四次産業革命を引き起こそうとしている……といった記事がビジネス誌を賑わせている。

 その中で、妙に納得させられる記事があった。英デイリー・テレグラフ紙に掲載された『インターネットは生産性を向上させることはなかったが、ロボットは生産性を向上させるだろう』というタイトルの記事だ。

「過去20年間における最大の技術進歩は何か」と問われたら、大半の人はネットだと答えることだろう。なぜなら、私たちの日常生活に大きな変化をもたらした技術だからだ。「アラブの春」のような歴史的イベントを引き起こしたこともあって、ネットの力を過大評価する傾向もある。だから、それが生産性を向上させなかったどころか、どちらかというと生産性を下げたといわれると、ネットを生産性の観点から考えていなかったことに気がつく。

 考えてみれば、Eメールで仕事のやりとりが便利になった面もあるが、やたらCCのついたメールが届くようになり、過剰な情報に振り回されるようになったきらいはある。そのうえ、FacebookやTwitter、あるいはLINE のようなソーシャルメディアが、職場での生産性を下げている具体例もよく耳にする。職場ではネットを個人的に利用しない人でも、日常生活においては、ソーシャルメディアやゲームにかなりの時間を費やしており、ネット中毒とまではいかなくても、生活に時間の余裕がなくなっている人は多いはずだ。

 ネット上での交流やゲームが楽しみや癒やしになっている人は、「暮らしの中での生産性を考えるのは、ばかばかしいことだ」と思うかもしれない。振り返ってみれば、50年代にテレビが登場した頃も、「子供が勉強しなくなった」「主婦が怠け者になる」などと批判が相次いだ。反対に、50年代に一般家庭に普及した電気洗濯機は(その他の家電製品と一緒になって)家事に費やす時間を大幅に減らし、女性が仕事を持ち、社会進出する促進要因のひとつとなった。このことから、暮らしの中において電気洗濯機は個人の生産性を向上させ、テレビは下げたと比較することはできる。