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被災地企業の再起を邪魔する国策!全国から集結した「バイト」が起こした奇跡

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宮城県・南三陸町
「東日本大震災の被災地にある企業は、人手不足で困っている」

 地域によって濃淡はあるが、これはおおむね事実だ。3月27日に発表された厚生労働省の「労働力調査」によると、2月の有効求人倍率は全国平均で1.15倍だったが、岩手、宮城、福島の3県で大津波に直撃されて被災した沿岸部の職業安定所別の有効求人倍率を順に見ていくと、岩手県は久慈0.80倍、釜石1.03倍、宮古1.22倍、大船渡1.58倍、宮城県は気仙沼1.68倍、石巻1.87倍、塩釜0.91倍、仙台1.56倍、福島県は相双2.27倍、平1.72倍だった。全国平均よりも低いのは久慈、釜石、塩釜の3カ所だけで、福島第一原発事故関連の除染作業の求人が多い相双は2倍を超えている。大船渡、気仙沼、石巻は地場産業の水産加工場の求人が多く、昨年は2倍を超えた月もあった。

 有効求人倍率については、働く側にしてみれば「求人には非正規雇用も含まれる」「年齢によっては応募しても採用されない」「雇用のミスマッチを考慮していない」など問題点も多々あるが、地域の雇用情勢の目安にはなる。

 企業側にしてみれば、「求人を出しても応募がない」というのは文字通り死活問題。被災地では、企業が設備の増強や事業所の増設を計画すれば、国や自治体の手厚い補助金や制度融資のメニューは用意されている。しかし、「人がいないために、やりたくてもできない」と嘆く経営者が少なくない。

 復興庁や自治体は「産業を振興すれば雇用が創出され、地域に活気が戻り、人口が回復する」という、従来の地域振興の定石のシナリオを念頭に政策を推進しているが、東北の被災地では雇用の創出どころか、「雇用状況のひっ迫のために、産業の振興がままならない」という皮肉な現象が起きている。

 なぜ、求職者が少ないのか。その最大の要因は震災直後から国が率先して打ち出した「臨時雇用対策」にある。

「公」による臨時雇用対策に、人が吸収されてしまう

 誤解されがちだが、失業率0%の「完全雇用」は決してバラ色の理想社会ではない。

 まず、起業の芽が摘み取られる。ベンチャーを立ち上げても、その事業がよほど有望でなければ、新卒以外ではせいぜい縁故ぐらいでしか人を採用できない。起業家個人の人脈を頼りに「将校」の幹部は集められても、労働市場に失業者が適度に存在していないと、ベンチャーに身を寄せて現場の第一線で働く「歩兵」が集まらない。「歩のない将棋は負け将棋」で、金将や銀将の参謀や飛車角の機動部隊だけでは、ビジネスの戦場で勝利を収めることはできない。ベンチャーが育たず新陳代謝が行き詰まれば、経済社会のバイタリティをそぐ。