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徳岡晃一郎「世代を超えたイノベーションのために」(4月28日)

30代で貧弱な経験と知の蓄積しかないと、重要な40代で大きな損失&失敗が待ち受ける

文=徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長
30代で貧弱な経験と知の蓄積しかないと、重要な40代で大きな損失&失敗が待ち受けるの画像1「Thinkstock」より

 この連載では、知を創造する(イノベーションを起こす)基本的なプロセス、知識創造理論のSECI(セキ)モデルを紹介し、それをビジネスパーソンのキャリア形成に当てはめた「SECIキャリア」モデルを解説している。つまり、知識創造型人生を歩み、知識創造企業づくりに貢献するキャリアのあり方である。

 これまでに、第一段階の「Socialization」のステージとして、主に20代の暗黙知の蓄え方、そして第二段階の「Externalization」、つまりSECIモデルの「E」のキャリア形成について考えてきた。

 そして今回は、SECIモデルの「C」である「Combination」について考えてみたい。「Combination」とは、「Externalization」のステージで表出化したプロとしてのポリシー、マネジメントのコンセプト、自分なりのノウハウなどをさらに拡充させ、他の形式知と組み合わせ、実際に自分らしい課題を設定して実行に移すフェーズだ。コンセプト化した思いをベースに、他の知との共創を行いながら、世界に打って出るフェーズともいえる。

 これが特に重要になってくるのが40代だ。3月12日付当サイト記事『こんな人は40歳で失速する 20代で蓄えた知識や経験を陳腐化させる30代の過ごし方』で述べたように、気力・体力・知力の三拍子が揃っている30代は、「E」のキャリア形成の時代である。

 ただがむしゃらに働くだけでなく、経験から仕事の理論、流儀、哲学を抽出して、形式知化することで、長い人生の基盤を作る時期だ。20代の暗黙知(経験値)に安住することなく、未来の視点でこれまでの自分の価値を再構築することが必要になる。

 30代でしっかりと知的基盤を築き、プロとしての自信をつけることで、おのずと発信力も身についてくるが、それだけでは意味がない。一般的にその時期は、目の前の課題を一生懸命こなすことが大切であり、それを通じて自分の核となる部分を作っていく。そして、その核は世のため人のため、新しい顧客を創造するため、ビジネスモデルを革新するため、持続的成長を果たすガバナンス改革のためなど、新しい時代に向けた新しいプロジェクトとして課題化することが必要だ。そうすることで初めて、知識創造としての意味を持つ。

 ただ核を持つだけでは、格好いいコンセプトに酔ってしまったり、きれいごとで会社を批判するだけになりかねない。会社や社会に大きな課題を投げかけ、実際に動き出さなくては、知を創造することはできない。

 つまり、40代は核として形式知化した信念を生かして、自分の部署や会社、あるいは日本を超えたネットワークを作り、イノベーションの主役に躍り出るステージなのだ。外資系の企業であれば、40代の社長も珍しくはない。日本の窮屈な組織に収まっている場合ではなく、世界を舞台に課題を設定する世代なのだ。

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

ライフシフトCEO
多摩大学大学院教授、研究科長、フライシュマンヒラード・ジャパン シニア・ヴァイス・プレジデント、多摩大学社会的投資研究所所長

1957年生まれ。東京大学教養学部卒業。オックスフォード大学経営学修士。日産自動車人事部、欧州日産を経て、99年フライシュマン・ヒラード・ジャパンに入社。人事およびコミュニケーション、企業文化、リーダーシップなどに関するコンサルティング・研修に従事。2014年より多摩大学大学院研究科長、2017年ライフシフトを設立、CEOに就任。主な著書に『MBB:「思い」のマネジメント』(共著、東洋経済新報社)『未来を構想し、現実を変えていく イノベーターシップ』(東洋経済新報社)、『人事異動』(新潮社)、『ミドルの対話型勉強法』(ダイヤモンド社)、『人工知能Xビッグデータが「人事」を変える』(共著、朝日新聞出版社)、『しがらみ経営』(共著、日本経済新聞出版社)など他多数。
株式会社ライフシフト

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