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リニア、語られない重大な懸念と、前代未聞の難工事 車内気圧変動とヘリウムショック

文=編集部
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リニア、語られない重大な懸念と、前代未聞の難工事 車内気圧変動とヘリウムショックの画像1試験走行するリニアモーターカー(「Wikipedia」より/Yosemite)
 品川~名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線の建設工事で最難関工区と目される「南アルプストンネル新設工事」の山梨県区間が3月13日、大手ゼネコン(総合建設会社)などに発注された。ゼネコン各社は施工方法や工費などを盛り込んだ見積書を8月までに東海旅客鉄道(JR東海)に提出。その中で、最も優れた提案を行った会社が正式契約を得る予定で、総事業費5兆5000億円に上る「今世紀最大の国家的プロジェクト」(鹿島建設幹部)の工事が具体的に動き出す。

 この南アルプストンネルは、標高3000m級の山々が連なる赤石山脈の真下を貫く全長約25kmの山岳トンネルだ。陸上の鉄道トンネルとしては東北新幹線の八甲田トンネルや岩手一戸トンネルなど、より長いトンネルがすでに供用されており、長さ自体は目新しいものではない。

 このトンネルが着工前から難工事と喧伝されるのは、日本列島を左右に分断する大活断層「糸魚川静岡構造線」を横切る上に、地表からトンネル天井までの土の厚さを表す土被りも1100mに達するという「国内でも施工事例がないトンネルを、2025年10月までに完成させなければならない」(同)ためである。

 土被りの量だけを取り上げると、世界にはヨーロッパアルプスの真下を通るスイスのゴッダルドトンネルのように2500mに達するものがあり、上越新幹線の大清水トンネルも地表から1300mの深さに掘られている。だが、「地質が目まぐるしく変わる構造線のトンネル工事は、実際に掘削してみないとわからない」(同)。わずか650mを掘り進めるのに10年の歳月と16もの工法を駆使しなければならなかった北越急行の鍋立山トンネル(新潟県)のような事例もある。ちなみに鍋立山トンネルも、糸魚川静岡構造線と並ぶ大活断層「柏崎千葉構造線」の上に位置している。

 JR東海が目指す27年の開通を現実のものとするには、南アルプストンネル以外にも、全長約37kmの大深度地下トンネル「第一首都圏トンネル」や同34kmの「第一中京圏トンネル」、木曽山脈を貫く同23kmの「中央アルプストンネル」など、「長大トンネル工事の百貨店」(国土交通省)と例えられる各工区をすべて、遅延なく完成させなければならない。一本の軌道に導かれて走るという鉄道の特性上、一つの工区が欠けても開通できないことは指摘するまでもないだろう。

語られていない懸念

 しかしリニア中央新幹線の場合、首尾よく開業にこぎ着けられても、新幹線のような安定高速輸送機関として定着できるかどうか、そのカギを握る、あまり語られていない懸念事項が2つある。

 それは車内の気圧変動をどこまで抑えて快適な車内環境を提供できるかという車両設計上の課題と、リニアの心臓部であり技術のコアといえる超伝導磁石の冷却に欠かせない、ヘリウムの安定確保という問題だ。

BusinessJournal編集部

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