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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

セブン、圧倒的強さの秘密 潰し合い突入のコンビニ業界、大きな差を生む「個店の稼ぐ力」

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 

死活を懸けたコンビニ地域戦争の始まり

 さて、成長を続けるためにさらに店舗数を伸ばすといっても、15年にコンビニの国内総店舗数はすでに5万店を超えており、出店しようにも好立地が残っているわけではありません。そうなると商圏人口が少なくとも自動車の通行量が多いロードサイドや、あるいはすでに他社店舗がある場所の近くに出店することになりますが、特に後者の動きが目立ってきています。同じ商圏内にもあえて出店が行われ、複数のコンビニが顧客を奪い合う、コンビニ店舗間で潰すか潰されるかの熾烈な競争が繰り広げられ始めています。

 しかも、コンビニはひとつの地域にどれだけ店舗を持っているのかという密度により、効率も競争力も大きく差が出てくるため、地域の覇権をめぐる競争が起きます。地域ドミナント戦略と呼ばれていますが、特定地域で店舗が多ければブランドの認知や存在感が高まり、顧客の吸引力がアップします。さらに、店舗への商品配送なども効率的になります。特にコンビニの場合は、弁当やサンドイッチなど日配品の鮮度が勝負ですが、各店舗への配送頻度を高めたり、最適なタイミングで出荷してくれる地域専用工場を確保することが重要になってきます。そのため、地域内での店舗数や売り上げで他社を上回ることが必要です。

カギは個店が稼ぐ力

 さて、出店競争で効いてくるのは個店が稼ぐ実力の差です。フランチャイズ店のオーナーにとっては、どの企業と契約すればどれだけ稼げるのかが、契約先を決定する際に重要だからです。個店の実力は一店舗当たりの一日の売上高、つまり日販が鍵となります。

 ファミマとユニーが経営統合すれば、店舗数では国内トップとなるにもかかわらず、この統合話についてセブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は「無関心だ。単純に合併しても効果が上がるとは思えない」と切り捨て、ローソンの玉塚元一社長も「3位と4位がくっついても、個店の力は強くならない」と興味を示さないのも、個店の力の差が重要だからです。

 現在、コンビニ業界では日販でも店舗数の伸びでも、セブンと他社の格差が広がり、結果としてセブンのシェアが伸びています。15年2月末の店舗数では、セブンがおよそ1万7500店、2位のローソンが1万2300店、ファミマが1万1300店です。日販では、15年2月期決算でセブンの全店平均日販は65.5万円ですが、ローソンはそれよりも12.2万円低い53.3万円、ファミリーマートは14.7万円低い50.8万円、サークルKサンクスはさらに差が開き21.9万円低い43.6万円でした。

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大西宏/ビジネスラボ代表取締役

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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