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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

セブン、圧倒的強さの秘密 潰し合い突入のコンビニ業界、大きな差を生む「個店の稼ぐ力」

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 セブン&アイHDの15年2月期決算説明資料によると、年度別の売上高シェアで05~09年度の5年間では1.9%シェアを伸ばしたにすぎなかったのが、10~14年度の直近の5年間ではなんと5.6%もシェアを伸ばし、現在国内コンビニ市場で41.0%のシェアを占めるに至っています。ちなみに店舗数では国内全コンビニの33.4%であり、個店の日販、すなわち稼ぐ力の強さの現れだといえます。

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 もしセブンにも死角があるとすれば、そのセブンですら、ここ最近では全店平均日販が落ちていることです。既存店で売上高が前年をクリアしているにもかかわらず日販が落ちているのは、新規出店した店舗が既存店レベルの売上高を上げられなくなっているからでしょう。それだけ新店舗の立地条件が悪化してきている、あるいは他店との競合が強まっているのです。

セブンの攻勢にどう対抗するか

 これまでセブンは地域ドミナント戦略を重視していたため、出店地域が絞られてきました。そのために空白地域もありましたが、今では青森・鳥取・沖縄3県を除いて、ほぼ全都道府県に出店しています。おそらく今後はさらに出店済みの地域での店舗を増やし、地域シェアを高めていく動きを強化してくるものと思われます。

 セブンが他社の強い地域へ進出する際の戦略は巧みです。それを見せつけたのが、ローソンの独占状態であった大阪の北摂地域、特にかつてはローソンの本部がありお膝元であった江坂への出店でした。まずは、箕面などの周辺部に出店し次第に店舗を増やし、やがて機が熟した頃に江坂の中心部にまでセブンの店舗を出店したのです。周辺から攻め、やがて中心部を落とすランチェスター戦略の教科書を見るようでした。
 
 セブンの攻勢が予測される以上、ローソンやファミマ、またその他コンビニ各社は、セブンに対抗できるだけの効率性を実現するのか、なんらかの独自のサービスや商品の特徴で差別化し、棲み分けを図ることが求められてくるのは必至です。

 その点では、北海道でセブンの攻勢を受けてもトップの座を譲っていないセイコーマートが参考になります。地域への密着度が高くてPB比率もきわめて高い、ユニークなコンビニです。

 さて、ローソンやファミマがどんな差別化を図ってくるのか、あるいは独自のサービスを展開してくるのか、店舗システムを進化させることができるのか――。ますます競争が激しくなる中でどんな手が飛び出してくるのか。楽しみになってきました。
(文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役)

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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