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埼玉の地域スーパー・ヤオコー、なぜ巨人イオンを凌駕?26期連続増益、常識破りの経営

文=福井晋/フリーライター
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 同コーナーの前では、試食した客同士のおしゃべり、実演したパート店員へ調理法の質問や相談などの井戸端会議が常に繰り広げられている。この井戸端会議から「○○小学校の遠足がある」「○○中学校の運動会がある」「○○町内会の日帰りバス旅行がある」など、地元だけのイベント情報がパート店員の耳に自然と入ってくる。同社はそれに合わせて特売を企画し、その情報をチラシに載せている。

 前出関係者は「イベント関連の特売では、これまで売れ残りが出たことは一度もない」と語る。また「個店経営はパート店員の働きで持っているようなもの」とも言い、彼女たちの働きぶりを絶賛する。

パート店員のモチベーションを高める重層的な仕掛け

 そのパート店員を、同社では敬意を込めて「パートナー」と呼び、ヤオコー社員としてのプライドと責任感を持たせている。もちろん、ある外食大手が弁当宅配事業などで採用しているような肩書だけの待遇ではない。キャリアパスをはじめ、さまざまなインセンティブ付与でパート店員の戦力向上に努めているのも、同社個店経営の特徴といえる。基本的な処遇は正社員と変わらない。

 同社のパート店員は、採用されると「初級職」からスタートする。その後、業務能力や売り上げ貢献度合いに応じて「中級職」「上級職」「リーダー職」、そして「主任職」へ昇進してゆく。もちろん昇進と同時に時給も上がり、正社員と同じく年2回のボーナスも支給される。さらに、売上高経常利益率が4%を超えた決算期は決算賞与も支給される。また、主任になると、契約社員への雇用契約変更も可能になる。

 パート店員には「技能検定制度」もある。個店経営をしている同社には、その店でしか売っていない総菜や店内調理パンが少なくない。これらは仕入れではなく、すべて店内厨房でパート店員が手作りしている。商品であるからには、消費者がいつ買っても同じ味になるよう品質を安定させなければならない。技能検定は、こうした品質安定化とパート店員の調理技能向上のために設けられた社内技能検定制度だ。この技能は4ランクに分かれており、ランクが上がるごとに技能手当も上がる。そして最上ランクの検定に合格すると「マスター」の称号が与えられ、名札の下にそれを示すシールが貼られる。総菜部門に配属されたパート店員はおのずと技能向上に励む仕組みだ。

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