NEW
雨宮寛二「新・IT革命」

グーグル、クルマに「ヒトの脳」アルゴリズム実装でロボット化 世界で進むグーグル支配

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

グーグルカー(動画共有サイト「YouTube」より)
 5月13日、グーグル自動運転車プロジェクト責任者、クリス・アームソンが、グーグルカー(自動運転車)の試験走行結果をエッセイとして公開した。同社はこれまで20台以上のグーグルカーを使い、6年間で170万マイルほどの試験走行を行ったという。その結果、遭遇した事故は11件で、これらはいずれも軽微な事故であり、責任はグーグルカー側ではなく人間側にあったとのことである。

 この結果だけを見れば、グーグルカーは安全であると考えることもできるが、果たして本当に安全性は担保されているのであろうか。

 現状ではグーグルカーは、多数のセンサーを備えることで、運転中に瞬時に変化する周囲の環境を的確に判断してリスクを回避している。実際グーグルは、車体ルーフをはじめ、あらゆる方向にセンサーを配置している。確かに、車体の全方位に備えたセンサーがあれば、運転中にさまざまな方向で起こる変化を察知することは可能である。グーグルカーはこうした変化を瞬時に察知して、それに応じた命令を動力系統に与えているわけである。

 だが、こうしたセンサーによる安全性の確保には限界がある。被害を最小限に抑えるための回避行動を行うプログラムが組み込まれていないからである。そもそもこれまでのグーグルによる試験走行は、市販車を改良した車両を公道で走らせていたことから、同社がゼロから開発した車両ではなかった。

 そしてグーグルは5月15日、自社で設計した車両を一般車に交じって安全に走行できるかどうかを調べるために、今夏から試験走行を始めることを発表した。同社はいよいよ自動運転車の独自開発に本腰を入れたというわけである。

狙いはAI型OSの標準化


 では、自動運転車の将来型とはどのようなものなのか。それは、咄嗟の判断により「被害を最小限に抑える判断力」を備えたビークルであろう。つまり、人間の判断力と同レベルの能力を自動運転車に備えることである。そのためには、ヒトの頭脳を構成している神経回路網を人工的に再現しなければならない。まさに、ディープ・ラーニング(深層学習)の技術により、被害を最小限に抑えるための回避行動を可能にするアルゴリズムの実装が必要となる。

 グーグルは今後、こうしたヒトの脳と同レベルの認識メカニズムを備えたアルゴリズムを開発してグーグルカーに実装することで、自動運転車としての安全性を高めていくであろう。このレベルになれば、もはやグーグルカーは自動車というより、次世代ロボットといっても過言ではない。グーグルが自動運転車の分野に限らず、こうしたAI(人工知能)型のOSを次世代ロボット用に標準化して、将来的におさえようとするのは当然の帰結でもある。

 インターネットやスマートフォンに続き、ロボットなど有力なプラットフォームがすべてグーグルの支配下に置かれる日はそう遠くはないかもしれない。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)