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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

韓国を真似するようになった日本は、落ちぶれたのか?積極的模倣戦略の重要性

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授
韓国を真似するようになった日本は、落ちぶれたのか?積極的模倣戦略の重要性の画像1サムスン電子本社(「Wikipedia」より/Roakr)

韓国ドラマの日本リメイク版がヒット

 前クール(1~3月期)の連続テレビドラマ『銭の戦争』(フジテレビ系)は、全話平均視聴率 13.4%と、不調に終わる連ドラが多い中で好調に推移しました。個人的感想としては「スピーディな展開」「細かいことは気にしない」「おもしろければOK」と、韓国ドラマのテイスト満載で大満足でした。

 しかしながら、このドラマは放送前から多くの人がヒットを予想していたのではないでしょうか。なぜなら、韓国で大ヒットしたドラマの日本リメイク版という情報が広まっていたからです。

 少し前までは、日本はあくまでも韓国や中国に真似される国であり、決まりごとのように「日本の素晴らしいものがまた真似された」と嘆き悲しんでいたものです。しかし、今や時代は変わり、日本が韓国を真似する立場になり、「韓国で大ヒット」がセールストークにまでなってしまうありさまです。

真似はよくないことなのか

韓国を真似するようになった日本は、落ちぶれたのか?積極的模倣戦略の重要性の画像2『「高く売る」戦略』(大崎孝徳/同文舘出版)

 こうした状況に対して、「日本も落ちぶれたものだ。もう終わりだ」と嘆く人も多いかもしれませんが、筆者は極めて楽観的です。もちろん、世の中に存在しない革新的な商品を投入しヒットさせることができれば100点満点であり、ぜひすべての日本メーカーに目指してほしいですが、真似で成功したとしても70点ぐらいは付けていいのではないでしょうか。

 筆者が日本メーカーも時には積極的に模倣すべきだと初めに感じたのは、5年ほど前に中国でテレビの市場調査を実施している時でした。調査目的は、薄型テレビの国際市場で日本メーカーの影響力が急速に低下している理由を解明することでした。

 今でも鮮明に記憶しているのですが、中国で家電量販店を訪れテレビ売り場に行くと、そこは異様な光景でした。悪い意味で日本メーカーのテレビが目立っていたのです。

 日本ではあまりお目にかかりませんが、薄型テレビの国際市場ではサムスンが強い影響力を保持しており、デザインにおいても先導する立場です。サムスンはいち早く液晶の周りを黒い樹脂ではなく、シルバーメタルで囲むデザインを採用し、現地の消費者から高い評価を得ていました。筆者が訪問した時期にはちょうど中国メーカーをはじめ、他の海外メーカーもサムスンのシルバーメタルのデザインを模倣していたなか、日本メーカーだけが従来の黒い樹脂で囲むデザインを固持していたのです。

 もちろん、デザインは個人の嗜好に大きく左右されるわけですが、その場にいた販売員も「日本メーカーの液晶画面自体は素晴らしく、自分は使用しているが、あのデザインでは消費者には受け入れられない。なぜ変えないのだろう」と語っており、旧型という印象を強く受けました。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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