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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

アイドルBABYMETAL、異例ずくめの非アイドル的戦略でヒット?逆輸入、限定的…

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「メギツネ」(BABYMETAL/無料動画サイト「YouTube」より)

 女の子3人組で構成されるアイドルユニットBABYMETALが、確実にファンを増やしつつある。このユニットがアイドルシーンにおいて圧倒的に異色の存在といえる理由は、アイドルとメタル音楽の融合をコンセプトとしているという点だけでなく、その売れ方がかなり特徴的であるからだ。立教大学教授・有馬賢治氏は、彼女たちが巻き起こす現象を次のように解説する。

「かつて日本は、ファッションやライフスタイルなどの文化は輸入一辺倒でした。それが90年代に入り、アニメなどの『オタク』ムーヴメントをはじめ輸出の動きが見えるようになり、最近ではそういった日本独自の文化が『クールジャパン』として海外の人々からも注目されています。BABYMETALの場合は、日本で大きく取り上げられていなかったにもかかわらず、海外進出をきっかけとして先に欧米諸国から評価されるという逆輸入現象を起こしました。日本のアイドル業界では前例がないのではないでしょうか」

 アイドル文化が日本ほど定着していない欧米でそのコンセプトや演出がウケ、昨年はワールドツアーを敢行し大盛況に。さらに今年8月にはグラストンベリーに並ぶイギリス最大級の野外ロックフェス「Reading and Leeds Festivals」で、同フェスティバル史上最年少でのメイン野外ステージに出演予定と勢いは衰えない。昨年には日本でも2日連続の東京・武道館公演を成功させており、AKB48やももいろクローバーZなどに比べると知名度は劣るものの、国内で着実に人気を得ているBABYMETALは、マーケティング的にどう分析できるのだろうか。

「まず一つは高品質戦略が挙げられます。バックバンドを一流のミュージシャンで構成し、本場の人々をうならせる演奏をする。さらに持ち曲が少ないがゆえに、メンバーが一曲一曲を練習によってしっかりと成熟させ、玄人でも受け入れられるクオリティでファンに楽曲を届けることができるのです。質重視の海外オーディエンスは、『ハイクオリティのサウンドをバックに少女たちがパフォーマンスをしながら歌っている』という点に新鮮さを覚え、熱狂したのだと思います。逆輸入的にブレイクするとは運営側も想定していなかったでしょうが、アイドルとは違う売り出し方をしたことが、人気を得た大きな理由です」(同)

AKB48は株式会社制度に倣ったマス・マーケティング


 では、同じアイドル界で現在大人気を誇るAKB48やももクロとは、ビジネス戦略的にどのような違いがあるのだろうか。

「一般的なアイドルの代表格であるAKB48は、できるだけ多くの人をターゲットにオープンに情報等を開示していく、いわゆるマス・マーケティング型です。毎年行われる選抜総選挙も、『選挙』という言葉に惑わされがちですが、CDをたくさん買った人ほど多くの投票権を持てるといういわば『株式の議決権』に近い特性を利用し、マスを対象に商品を手に取ってもらうのが戦略。さらに、バラエティに限らず、あらゆるテレビ番組にメンバーが露出して広く存在を浸透させようというメディア戦略が顕著なところもマス・マーケティング的です」(同)