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どうぞ、独特の味…ヘンな日本語名の菓子がアジアに氾濫 トッポに酷似のペジョイが大人気

文=三田村蕗子/フリーライター
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売り場で光る、江崎グリコ製品の存在感

「日本製品」風のお菓子が氾濫する中、タイの量販店の棚をがっちりと押さえているのが江崎グリコだ。

どうぞ、独特の味…ヘンな日本語名の菓子がアジアに氾濫 トッポに酷似のペジョイが大人気の画像5タイの大手量販店、BigC内のグリココーナー。「ポッキー」や「プリッツ」のほか、「トッポ」とよく似た「pejoy」も品揃えされている

 1966年に誕生した「ポッキー」の全世界の販売個数は年間5億箱、売上額は4億ドル(約480億円)。そのうち3億箱が日本、残り2億箱をヨーロッパやアジアを中心にした海外30カ国で売り上げている。森永製菓やカルビーと並んでグローバル戦略を強力に推し進めている江崎グリコにとって、タイは初の海外拠点だ。70年に現地法人タイグリコを設立し、「ポッキー」「プリッツ」の現地生産をスタートし、ここでつくられたチョコレート菓子は、シンガポールやマレーシアなど近隣諸国へも輸出されている。

 グローバル戦略の起点ともいえる場所だけに、タイにおける強さは半端ではない。コーナー展開を図り、ちょっとおおげさに言えば、江崎グリコの世界観を売り場で表現しているのだ。ここまでがっちり固められていると、「なんちゃって日本のお菓子」など足元にも及ばない。

 味のバリエーションも着実に増加中だ。昨年まで、味に保守的なタイ人の嗜好を踏まえて「ポッキー」の種類は抑えめだったが、今ではトータル8種類にまで増えた。昨年、タイグリコの広報担当者は次のように語っていた。

「タイでは、いろいろな味を出しても受け入れられづらい状況です。むしろ、日本が特殊だともいえます。日本のお客様は、食経験を豊富に持っています。例えば、クリームブリュレ味を出したとして、その味を体験したことがなければ、受け入れられません。こんなに、さまざまな国の料理やお菓子を食べた経験のある消費者が多い国は、日本以外にないのではないでしょうか」

 しかし、その後、味の種類が増えたということは、受け入れ土壌が整備されてきたということだ。つまり、タイの消費者の味覚的経験値がアップしたということだ。急速に消費の成熟度を高めている新興国で、いかに現地の嗜好を踏まえた味を開発するか。これは、海外進出する食品メーカーの至上命題といえる。

日本未投入のお菓子で商品力を強化

 タイにおける江崎グリコの商品戦略についていえば、日本では販売されていないお菓子にも注目したい。細長いビスケット生地の内側にチョコレートを入れた「ペジョイ」だ。察しの良い方はおわかりだと思うが、これはロッテの「トッポ」と非常によく似ている。あからさまに「トッポ」とバッティングするためか日本では発売されていないが、アジア限定で投入されている「ペジョイ」は、タイの量販店の売り場を見る限り、明らかに存在感は「トッポ」よりも上だ。

 そして江崎グリコの売り場は、「ポッキー」を模したとされる韓国ロッテの「ペペロ」も、目立たない上段の棚に押しやっている。元祖としてのプライドをかけて、「ポッキー」の売り場を固める一方で、日本には未投入の、他社とよく似た製品を打ち出してラインナップを広げ、海外でのブランド力強化を図る江崎グリコ。この貪欲で積極果敢な商品戦略に、海外で勝つお菓子メーカーの本質を見る思いがする。
(文=三田村蕗子/フリーライター)

『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?』 独特の食感でアメリカ人に大人気「ハイチュウ」、狙うは五大陸制覇「じゃがビー」、「柿の種」はこんな国で愛されている!!国内では廃番→海外で活復したお菓子たち、「カラムーチョ」「ベビースターラーメン」…日本のお菓子が切り開く“海外戦略”の道 amazon_associate_logo.jpg

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