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ラップ・ミュージックと反ホモフォビアの現在 フランク・オーシャンからキングギドラまで

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【リアルサウンドより】

 音楽ライターの磯部涼氏と編集者の中矢俊一郎氏が、音楽シーンの“今”について語らう連載「時事オト通信」第4回の後編。前編【黒人音楽をめぐるポリティカル・コレクトネスの現在 “ステレオ・タイプな表現”をどう脱するか】では、ミュージシャンの表現とポリティカル・コレクトネスの関係について、ラッツ&スターとももいろクローバーZが巻き起こした議論や、韓国のラッパー・Keith Apeの「It G Ma」が世界中で話題になったことを題材に考察した。今回はミソジニーやホモフォビアといった問題について、フランク・オーシャンやマックルモア&ライアン・ルイス、キングギドラといったミュージシャンの事例をもとに、さらに議論を深めた。(編集部)

・中矢「LGBTをめぐる問題が、一気にクローズアップされている」

中矢:ラップ・ミュージックとポリティカル・コレクトネス(差別や偏見を含まない言葉/表現を用いること)と言えば、同ジャンルではミソジニー(女性嫌悪)とともにホモフォビア(同性愛嫌悪)が顕著であることが、N.W.Aからエミネムに至るまで絶えず問題視されてきましたが、近年、そこに変化が起こりつつあります。例えば、2012年5月、バラク・オバマ大統領がABCニュースのインタヴューにおいて、現職の大統領で初めて「同性婚を支持する」と発言したのに対して、ジェイ・Zや50セント、T.Iといったアメリカを代表するラッパーで、マッチョなキャラクターで知られていたアーティストたちが揃って賛同を表明し、話題になりました。

 また、同年7月には、当時、新進気鋭の男性R&Bシンガーとして注目されていたフランク・オーシャンが、過去に男性と付き合っていたとカミングアウト。それを受けて、彼が所属するクルー・OFWGKTA(オッド・フューチャー・ウルフ・ギャング・キル・ゼム・オール)のリーダーで、ホモフォビックな表現を含む過激な歌詞が賛否両論を呼んでいたラッパーのタイラー・ザ・クリエイターは、「オレの兄貴がついにやりやがった。あのシット(カミング・アウト)が難しいってことはわかってるから、あいつを誇りに思うよ。とりあえず、オレはトイレに行ってくる」と、彼らしく下品なユーモアを交えながらも歓迎する旨をツイートしていましたよね。

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