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“うさんくさい”株式指標は株を買わせるための道具?証券業界の都合で頻繁に変更の謎

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「Thinkstock」より
 企業の業績や財務データを見て、収益性、安定性、成長性、安全性などを判断する際、用いられる指標には、さまざまな種類がある。最もポピュラーなものが、ROE(自己資本利益率)だろう。当期純利益をバランスシート(貸借対照表)の「自己資本」の金額で割り、100(%)をかけて算出されるROEは、企業が株主からの出資を使って、どれだけ効率的に稼いだかを示すものだ。

 財界は「企業価値の向上」を盾に「ROE経営」を叫んでおり、2014年1月から公表が始まった株価指数「JPX日経インデックス400」では、ROEの高さが構成銘柄の選定条件の一つになっている。

 ROE重視の風潮に対し、「借金をして稼いだ分も、当期純利益に含まれるため、ROEを高くすることができる」と主張するのは、ROE懐疑派だ。彼らは、負債比率やROA(総資産利益率)などの指標も見た上で、総合的な判断を求める。いずれにせよ、そういった「割り算指標」をきっかけに、企業財務への関心が高まるのは、悪いことではないだろう。

 ROEも負債比率もROAも、時代によって計算の範囲が変わったり、「株主資本利益率」だったROEが「自己資本利益率」になったように、意味合いが変わったりしている。しかしながら、昔も今も企業の業績や財務を判断する上で、重要な指標であることには違いない。

バブル期には“やくざな指標”が登場する


 企業の会計、財務から株式市場に目を移してみよう。指標に「P(株価)」の文字が入ると一見堅そうだが、実はうさんくさいものも存在する。それでもまだ“堅気な指標”といえるのが、PER(株価収益率)だろう。

 PERは、株価をEPS(一株当たり当期純利益)で割るか、時価総額(株価×発行済み株式数)を当期純利益で割ることで算出され、株価が純利益の何倍であるかを示すものだ。実際は「予想PER」と呼ばれ、EPSや当期純利益は企業が発表する通期業績予想の数字を使うことが多い。PERは『会社四季報』(東洋経済新報社)や『日経会社情報』(日本経済新聞出版社)の個別企業のページには必ず載っており、株式市場の代表的な指標といえる。

 バブル景気まっただ中の1987年には、日経平均株価の平均予想PERが最高89倍に達し、「説明不能」といわれた。みずほ総合研究所のデータによると、日経平均株価が最高値の3万8915円を記録した89年末時点の全上場企業の平均予想PERは47.3倍で、アメリカの9.9倍より4倍以上も高い。

 ITバブルといわれた00年4月12日、日経平均株価2万833円に達した時は、同46.2倍で、アメリカの23.8倍の2倍近い。しかし、日経平均株価が2万円の大台にタッチした今年4月10日時点では15.4倍で、アメリカの17.1倍より低く、「適正水準」といわれる14~16倍の範囲に収まっている。

 平均予想PERが20倍以内であれば、「まだバブルではない」という見方が大半を占める。日経平均株価が4ケタに低迷していた12年でも、13~14倍程度だったため、現状は企業の利益の急回復に株価が追いついていないともいえる。

 ただ、数字上はバブルとはいえないものの、感覚的にはバブルの兆候が現れている。Qレシオ(実質株価純資産倍率)やPSR(株価売上高倍率)のような、バブル期ならではの“やくざな指標”が再び出現してきたからだ。それがPEGレシオである。