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危機シャープ、ウルトラCでもやはり消滅?負債帳消しでも信用低下や株主に多大な損失か

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シャープ本社(「Wikipedia」より/Otsu4)
 5月8日、経営再建中のシャープが1218億円(2014年3月期末)の資本金を1218分の1に当たる1億円に減らす財務再建策を検討していることが明らかになった。会社法でいう増資とは反対の「減資」という手段で、資本金の99.91%の1217億円を取り崩すので「99.91%減資」になる。

 12年3月期と13年3月期の2期で合わせて9000億円余りの最終赤字を出していたシャープは、連結決算ではなく単体決算の貸借対照表(バランスシート)上で、「純資産の部」の繰越利益剰余金のマイナス額、いわゆる累積損失が5250億円に積み上がった。最終黒字化した14年3月期は208億円に急減したが、5月14日に発表される15年3月期決算では約2300億円の最終赤字が見込まれているため、累積損失が再び膨らむことは確実になっている。

 しかし、減資分の1217億円を使えば、それを相殺して消すことが可能になる。企業が減資を行う目的はほとんどの場合、そうやって累積損失を消し、身軽になって出直しを図ることにある。もし減資分で累積損失を消してもなお「おつり」が出た場合、それは貸借対照表上では純資産の部の「剰余金」(資本剰余金+利益剰余金)に組み込まれるが、これは一般に内部留保と呼ばれている。その使い道として考えられるのは、今期(16年3月期)決算で連続最終赤字に陥った時、この剰余金を利用して累積損失の金額を減らしたり、出さないようにすることである。今期の最終損益については1000億円超の赤字という観測が出ている。

 このように減資というのは、貸借対照表の右側の純資産の部の「資本金」と「繰越利益剰余金」の項目間で金額を出し入れするだけなので、バランスシートのバランスを崩すことはない。それだけなら増資と違って発行済み株式数の増減も起きず、株主の持ち分(出資比率)も変化しない。そのため「帳簿上の処理手続き」とか「財務の操作」などと軽々しく言われることもある。

 シャープは6月下旬の株主総会で承認されれば、減資を実施すると報じられている。資本金がゼロになる「100%減資」なら株式は上場廃止になるルールだが、1億円残す「99.91%減資」ならそれに抵触せず、上場を維持することができる。

 その1億円を残すというのもミソで、まるで冗談のようだが、資本金が1億円であれば売上高約2兆9000億円のシャープでも税法上、「中小企業」に分類される。そのため法人税では軽減税率が適用され、外形標準課税も適用されないなど、中小企業向けに用意された税制上の優遇措置が受けられる。