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徳岡晃一郎「世代を超えたイノベーションのために」(5月19日)

50代で“人生終了モード”の人と、楽しく働き続けられる人の違いとは?40代は“冒険”しろ!

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「Thinkstock」より
 この連載では、知を創造する(イノベーションを起こす)基本的なプロセス、知識創造理論のSECI(セキ)モデルを紹介し、それをビジネスパーソンキャリア形成に当てはめた「SECIキャリア」モデルを解説している。知識創造型人生を歩み、知識創造企業づくりに貢献するキャリアのあり方だ。

 これまでに、第一段階の「Socialization」のステージとして、20代の暗黙知の蓄え方、そして第二段階の「Externalization」のステージとして、自分の立ち位置をはっきりさせる30代の過ごし方、第三段階の「Combination」のステージとして、自分の専門分野から飛び出し、他分野の世界とつながって大きな構想をはぐくむ40代の重要性を伝えてきた。

 そして今回は、SECIモデルの最後の「I」、つまり「Internalization」について考えてみたい。Combinationのステージでは、異分野を取り込んだ大きな構想を打ち立て、自分らしい課題を設定し、実行に移すことが重要だった。40代で創造的に知を実現し、世の中に価値を生み出すことができれば、「社会の進歩という文脈の中で、今の仕事の意義について語ることができますか?」という質問にも、きちんと答えられるだろう。

 多くの仕事は当然のことながら、社会の進歩と密接なつながりがある。しかし、もう一歩入り込み、「『世の中視点』で見ても、そうですか?」と問われたらどうだろうか。

 自分視点ではなく、世の中視点で見るというのは、どういうことだろうか。それは、今の仕事について「もっとこうしたら良くなるのに」という思いを放置せず、「でも、自分の仕事はここまでだから」とあきらめず、自分の所与の責任範囲を超えて「こうあるべきだ」という姿を追い求めているかどうかだ。そこまで行ってこそ「世のため人のため」と言えるのではないか。

 経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、「イノベーションは知性の偉業ではなく、意志の偉業である」という言葉を残しているが、居心地の良い範囲内で終始してしまうのではなく、あえて火中の栗を拾い、修羅場をくぐり抜け、未知のコミュニケーションに飛び込み、Combinationに進むかどうかが大事である。

 そういった意志で40代を過ごすことができれば、得られる学びや気づきは、とてつもなく大きいものになるはずだ。Combinationというのは、知を貪欲に広げる生き方であり、決して楽ではないが、スリリングなものである。

 こうした40代を過ごした人は、楽しい50代以降を迎えることができる。それは、なぜだろうか。

50代で訪れる「静の時代」


 SECIモデルの最後の象限は、形式知から暗黙知へと戻る内面化(Internalization)だ。内面化とは、「C」の時代の自己拡大と実践を通じた気づきや学びを振り返り、自分の知をもう一段階引き上げていく局面である。キャリアに当てはめれば、40代の大仕事での学びをどう生かすかであり、その生かし方が50代のキャリアのポイントになる。では、50代で期待されることはなんだろうか。

 産業用冷却・冷凍システムで世界最大手の前川製作所には、実質的な定年がなく、社員の最高齢は80代だという。同社では、55歳までを「動の時代」、それ以降を「静の時代」と位置づけている。