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小林敬幸「ビジネスのホント」

超有望のドローン市場、実はビジネス的な“うまみ”ゼロ?ルンバを超える秘策がある?

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
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 また、試行錯誤の末に、規制と用途に合わせた業界スタンダードが一度確立されれば、後追いで参入して製造するのは簡単だ。結局、メーカー系の企業にとって、初期段階で苦労して用途を見いだし、市場を立ち上げたとしても、ドローンの製造だけでは継続的に大きな利益を生み出せそうにないのである。

 それなら、サービス系の企業がドローン市場に参入するのはどうだろうか。国内では、セコムが警備用に開発している例がある。しかし、サービスは、個別用途ごとにハードも運用方法も特定のものを作り上げないといけない。

 後追いしてくる競合他社を振り切るためには、ハードの技術力も必要になってくるため、サービス系の企業にとってはとっつきにくい。また、特殊な仕様にするほど、その用途以外に販売を拡大するのが難しく、そうしたサービス用途の各分野は、一つひとつの市場規模が小さい。

 このように、メーカー系企業にとっても、サービス系企業にとっても、市場を立ち上げるのに苦労するわりに、成功しても継続的かつスケールのある利益が見込めない状況なのだ。

 そして、このような事実は、当事者意識を持ってドローン市場について少し調べれば、すぐにわかってしまうことだ。それが、ドローン市場に日本企業が参入しない理由ではないだろうか。

ドローンに取り組むための3つの視点

 では、日本企業はどんなやり方でドローンに取り組むべきだろうか。私は、以下の3つの視点を挙げてみたい。

(1)メーカー系企業とサービス系企業が提携する

 メーカー系企業とサービス系企業がうまく提携する方法を考えるべきだろう。メーカー系企業は、飛行の基本機能を持ったベースとなるドローンと、用途ごとにマッチした付属部品の組み合わせを上手に開発する。サービス系企業は、それぞれの用途で収益を上げられる体制を整える。

 そして、ピアノメーカーがピアノ教室を運営して市場を拡大し、サービス収益を取り込んでいくように、両者一体となってビジネスを拡大する。個々の用途ごとの作業引き受けに加え、操作の講習、資格認定、ドローン運用者と作業依頼者のマッチングなどもあり得るだろう。

 初期では、メーカー系企業の負担が大きく、その後、サービス系ビジネスが立ち上がってから、収益が伸びてくることになるだろう。従って、立ち上げ時にがんばったメーカー系企業が、後に拡大するサービス系の収益の一部をしっかりとシェアできるよう、提携の体制を整えたほうがいい。そうしないと、メーカー系企業のモチベーションが上がらないからだ。

 提携の方法は、収益をシェアする事業提携、両社出資によるジョイントベンチャー設立、資本業務提携、買収による吸収合併など、さまざまな方法が考えられる。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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