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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

都心一等地の無料ショールームがヤバすぎる!来場者殺到!大日本印刷の“壮大な”狙い

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

会社が「進む方向性」の象徴でもある

 もともと大日本印刷が長年の歴史で培ってきたのは、印刷技術と事業活動の中で収集してきた情報だ。それを21世紀が始まった年に、事業ビジョンとして「P&Iソリューション」として掲げた。「P」はPrinting Technology(印刷技術)、「I」はInformation Technology(情報技術)の頭文字だ。事業で培った技術や知見を生かし、顧客や社会の課題を見つけて解決したいという思いを込めたという。

 12年からは「未来のあたりまえを作る。」を経営スローガンに掲げた。週刊誌の体裁やICカードの開発など、過去に提案したものは「現在の当たり前」になったが、それをより一層進めることで、社員が受け身の姿勢から能動的な姿勢に変わることも目指す。

 東京都内の一等地で無料の体験型施設を運営することへの、社内からの疑問や批判の声もあっただろう。だが、行う意義はありそうだ。中島氏はこう続ける。

「ドットDNPを運営することで、生活者の本音の情報が直接入ってくるようになりました。社内に向けては『会社はこの方向に進む』という意思表示にもなっています」

 そんな同社が掲げる行動指針の中心を成すのは「対話」だ。当たり前に思われるかもしれないが、待ちの姿勢から能動型に舵を切ったからこそ、この言葉をかみしめる必要がある。

 入場無料のドットDNPだが、総合受付で氏名などを記入して入館手続きをしなければならない。カフェだけを利用したい人から、不便だという声があるのも事実だ。このカフェも自分たちで運営しているといい、未経験だった運営に戸惑いながら、改善して使い勝手を高めていく。来館者からの要望や苦情も、新たな「情報」となるのだろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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