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“戦国時代”音楽配信サービスは、すでに斜陽産業? 市場規模半減、撤退相次ぐ

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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「洋楽は売れない」

 以上で挙げたサービスは、日本国内で日本語によるサービスを提供している定額制音楽配信サービスだが、業界関係者やメディアの間で注目されている存在がほかにある。それは2006年にスウェーデンで誕生し、英米を中心に爆発的に広がった「Spotify(スポティファイ)」だ。12年10月に日本法人を設立し、日本での事業開始を準備している。
 
 これは選曲型で、ソニー、ユニバーサル、ワーナーという音楽界「世界三大メジャー」と契約を結んで曲数は3000万以上ある。有料会員は月額9.99ドルだが、それとは別に広告付きの無料会員の制度もある。14年末時点の全世界の会員数は、有料会員は約1500万人だが、無料会員はすでに約4500万人に達している。この無料サービスが世界の音楽配信マーケットで破壊力を発揮しているため、「スポティファイが本気で日本に上陸したら、他のサービスはひとたまりもないだろう」と、まるで「黒船」のように恐れられている。

 とはいえ、MTVブームで洋楽ファンが急増した1980年代ならいざ知らず、現状では国内音楽マーケットは世界第2位といわれながらピークの半分以下で、特に洋楽ジャンルは邦楽以上に縮小してしまっている。

 一般社団法人日本レコード協会の統計によれば、14年1年間の音楽ソフトの生産金額は2541億円で、ピークだった98年(6074億円)の41.8%に落ち込んだ。14年の邦盤生産1913億円に対し洋盤生産は346億円で5分の1以下。マイケル・ジャクソンやマドンナが流行した85年のセールスシェアは邦楽62%に対し洋楽は38%あったが、14年は邦楽84%に対し洋楽は16%にすぎない。「洋楽は売れない」は、ほとんど常識化している。

スポティファイは「大砲のない黒船」

 よって、スポティファイが国内で収益を上げるためには、邦楽ラインナップの充実は不可欠になる。しかしながら、現状の国内の選曲型サービスを眺めると、邦楽の曲数を100万以上揃えるには、ガラケー時代から10年以上にわたり「着うた」などの配信サービスを手がけてきたレコチョクの力を借りざるを得ない状況になっている。選曲型のフルサービスの月額料金が1000円前後で揃っているのは、そのためだ。14年にNTTドコモがレコチョクに出資してその筆頭株主に躍り出たのは、そうした事情を知った上での深慮遠謀があるのかもしれない。

 もしスポティファイが邦楽のラインナップを揃えてすぐに参入したいと思えば、どうしてもレコチョクと提携せざるを得ない。音楽ソフト会社と個別に交渉することもできるが、時間とコストがかかりリスクが高い。

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