NEW
神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

バカ高い日本の生命保険、保険料支払額&保険金不払い額世界一!1世帯で年間41万も負担(前編)

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント
【この記事のキーワード】, ,

 大手メディアではほぼ唯一、01年8月5日付毎日新聞が「日本の生命保険料は、欧米の同内容の商品と比較しても、2~3倍も高い」というスポンサータブーに触れる勇気ある記事を掲載したことがあります。つまり、日本の生命保険は世界一保険料が高く、保障は過小になっているわけです。

 では、大元の保険会社の儲けの構造のほうも見ておきましょう。

 保険料の内訳には、将来の保険金の支払いに充当する「純保険料(いわゆる原価)」と保険会社のコストに相当する「付加保険料」があります(厳密な意味での原価は加入者に支払われた保険金額になります)。

 日本の生命保険料の場合、推計で純保険料が約35%、付加保険料が約65%です。肝心の保険金支払いに回される金額割合のほうが少なく、これは飲食店のラーメンやカツ丼の原価率(原材料費30~35%が標準)と同水準です。

 保険料の65%が、家賃、人件費、水道光熱費、広告費、販売奨励金、接待費、福利厚生費、通信費、減価償却費、営業利益といった、いわゆる粗利(売上総利益)になっています。当然、原価が低く、粗利益が多いほど会社は儲かります。

保険金不払い額も世界一

 このように販売代理店側と保険会社側のそれぞれの儲けの構造を見ていくと、保険という商品が、いかに私たち加入者にとって非効率なかたちで流通しているかがわかります。すなわち、保険は営利目的である限り、私たち加入者とは「利益相反する関係」と理解しておくべきでしょう。

 人の命と健康を多年にわたって保障するための保険料の大半が、保険関連従事者を食べさせるためのコストや維持管理費に消えていくのが実態になっているのです。

 近年、保険料が従来の大手生保会社の半額で、純保険料が77%、付加保険料が23%と、保険の原価を公表したインターネット生命保険会社が話題を呼びましたが、それでもコストは保険料の2割以上かかっているのが現実なのです。営利目的の企業では、しょせんコストも2割程度が限界でしょう。ちなみにこの保険会社は、後発の格安ネット保険に押されて加入者数が伸び悩み、株価は公開時の3分の1まで落ち込んでいます。大手の半額という画期的な保険料を打ち出したものの、いまだ大手の牙城に阻まれているのは不思議でもありますが、保険という商品の不可解さを象徴する事例なのかもしれません。

 日本の生命保険料は世界一高いのですが、保険金不払い額も世界一といわれています。保険会社はさまざまな特約をつけて保険料アップを図るのが常ですが、管理体制がアバウトなため、「請求がなかったから保険金支払いを見逃した」という事例が山ほどあります。

 01年から10年までの10年間で、金融庁が把握した不払い事例は116万件、金額にして1136億円に上ります。金融庁からの度重なる「業務停止命令」や「改善命令」を受けても懲りなかった図太い業界なのです。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)

※後編へ続く

バカ高い日本の生命保険、保険料支払額&保険金不払い額世界一!1世帯で年間41万も負担(前編)のページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!