NEW

ユニクロ、中国を手玉に取る巧妙手法 なぜ工場は過酷な労働環境を余儀なくされるのか

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ユニクロの店舗(「Wikipedia」より/Tokumeigakarinoaoshima)
 カジュアル衣料業界においてユニクロを展開するファーストリテイリングが独り勝ちとなっている。4月9日に発表された2015年8月期第2四半期決算でも、売上高9496億円で前年同期比24%増と成長が続いている。同社は17年8月期通期の売上高を2兆5000億円と現在の2倍に伸ばす計画で、その成長の鍵を握っているのは海外事業である。特にその中でも重要なのが中国市場だ。

 日中関係の緊張にもかかわらず、ファストリが不動の自信を持ち続けている秘訣はどこにあるのか。

 まず、小売りチェーンとしての取り組みは02年から着手し、現在は中国全土で345店(15年3月末時点)に達している。海外ユニクロ店舗のほぼ半数を占める、力の入れようである。

 一方、生産拠点としての中国での体制も、マイペースが続いている。チャイナリスクを恐れて多くの日本企業が中国生産撤退を急いでいる中で、ファストリが中国を重視する方針は変わらない。もっとも、初期の頃はほとんど全量が中国生産だったが、徐々に生産国を分散しているのは事実。現在は中国以外に、ベトナム、バングラデシュ、インドネシア、そして今年からインドでも生産を開始している。ファストリは「将来は中国以外の国で3分の1、中国は3分の2にしたい」としている。中国は人件費の高騰が著しく生産メリットは乏しくなっているが、それでも安定供給のためには中国企業は欠かせず、これは単なるリスク分散にすぎない。

 ファストリは中国生産において約70の業者と取引しているが、一部を除いて基本的に資本関係を持たない。それゆえに国の政策に左右されず、チャイナリスクは小さい。契約に基づいて数十万枚単位、時には100万枚単位での大量発注を行うので、中国企業はファストリとの取引を最優先せざるを得ない。また、中国以外の生産強化で、中国企業側もユニクロの求める契約達成とクオリティ確保に必死の経営努力を続けなければならない。取引を打ち切られたりすれば、死活問題だからだ。

 それがしばしば労働者へのしわ寄せとなって表れる。賃金を安く抑え込み、長時間労働、休日労働、劣悪な労働環境などが日常化しているといわれる。ただ、ファストリは取引先の労務管理に直接タッチするわけではないので、この点でのリスクも避けることができる。

「ユニクロの中国との取引は、理想的なビジネスモデルといえます」(流通業界評論家)
 
 ファストリのように中国企業を使いこなすことが、グローバル企業として成功する秘訣といえそうだ。 
(文=川嶋幸太郎/ジャーナリスト)