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東京ガスの豹変 何を“企んで”いるのか?

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ガス栓
 電力自由化の動きが本格化している。2016年4月に電力小売りの全面自由化、18~20年に電力会社の送電部門分離が計画されている。こうした動きをにらみ、全国でさまざまな業種から市場参入が相次いでいる。地域独占にあぐらをかいてきた、各地域の大手電力会社も挑戦者として他の地域へ進出を図る。主戦場は巨大市場である首都圏。石炭火力発電所の建設計画が目白押しだ。各社がこぞって石炭火力発電所に投資するのは、火力発電が最も建築費の安い電源だからである。

 九州電力は5月1日、東京ガス、出光興産と共同で石炭火力発電所の建設に向けた特別目的会社を設立した。千葉県袖ケ浦市に最大100万キロワットの火力発電所を2基新設し、20年代半ばの稼働を目指す。総事業額は4000億円を見込む。

 かつて電力業界のガリバーと呼ばれた東京電力と対抗するには、単独では難しいため、異業種とスクラムを組む。石炭火力発電所のノウハウを持つ九電、電力事業に新たに参入した東京ガス、千葉製油所(千葉県市原市)の敷地を石炭の貯炭場として活用したい出光興産。3社の思惑が一致して、大型火力発電所建設のプロジェクトが動きだした。

 また、中国電力も東京ガス、JFEスチールと組み、千葉市に100万キロワットの石炭火力発電所を建設する計画。関西電力は東燃ゼネラルと共同で市原市に石炭火力発電所を建設する検討に入った。

 既存の発電所を増強する動きも目立つ。東京ガスとJX日鉱日石エネルギーが共同運営する川崎天然ガス発電(川崎市)の発電能力は、20年度をメドに現在の2倍である160万キロワット規模になる。東京ガスと昭和シェル石油が共同出資する天然ガス発電所、扇島パワーステーション(横浜市)の発電能力は15年度末までに1.5倍の122万キロワットになる。

 火力発電所建設プロジェクトの主役は東京ガスである。同社は都市ガスの契約者を対象に、電力とガスのセット販売を行う。新設する火力発電所は、そのための有力な武器となる。

東京ガスと東京電力の真っ向勝負


 東京ガスの広瀬道明社長は14年10月、電力小売りの完全自由化に合わせて、家庭向け電力販売に参入する方針を表明した。

「2020年には発電能力を現状の2倍以上の300万キロワットに、販売電力量を3倍の300億キロワット時に引き上げ、首都圏における電力販売シェアの1割を目指す」(14年10月16日付ロイターより)

 主力のガスと電力事業を組み合わせた「ガス&電力」の強みを生かし、電力市場に参入する。シェア1割達成のための電源確保の柱に据えているのが、九電や中電と共同で運営する火力発電所である。今秋にも家庭向けの電力販売料金やサービスメニューを発表し、予約販売を始める。自由化を先取りし、首都圏に抱える1100万のガスの顧客を囲い込む。