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LIXIL、なぜ大きくつまずいたのか?海外子会社破綻で巨額損失 積極海外展開に狂い

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LIXIL本店(「Wikipedia」より/Rs1421)
 5月21日、国内住宅設備最大手のLIXIL(リクシル)グループは、ドイツの現地子会社Joyou(ジョウユウ)の破産手続きを開始すると発表した。ジョウユウはリクシルが昨年買収した独グローエの子会社であり、中国で水栓金具などの製造販売を行ってきた。

 今年6月に入り、リクシルはジョウユウの破産を受けて2014~16年3月期の間に、最大で約662億円の損失が発生すると発表した。その上で、リクシルは「グローバル戦略は変わらず、ビジネス基盤は依然として盤石」とのコメントをリリースした。M&A(合併・買収)や海外進出の推進は、国内企業にとって存続にかかわる重要な課題だ。ただ、それには今回の事例のようなリスクが伴う。そのリスクを軽減するためには、経営のガバナンスを強化することは不可欠だ。

リクシルが目指すグローバル企業

 リクシルは、トステム、イナックス、新日軽、サンウエーブなどを統合して誕生した企業であり、個々の企業名を聞くと具体的な企業イメージを持ちやすいかもしれない。

 リクシルの経営には2つの特徴がある。一つ目は、外部からプロ経営者を招き入れ、グローバル化を推し進めている点だ。米GEに長年勤務し経営にも携わった藤森義明氏を11年にCEO(最高経営責任者)として招き入れている。そのほかにもM&A担当役員に金融機関出身者を据えるなど、同社の経営スタイルは伝統的な日本企業のものとは大きく異なる。

 藤森氏の経営を見ていると、GEを彷彿させる部分が多い。IR資料を見ると日本型経営からの脱却を強く意識づける文言が並ぶ。人材教育面でも次世代経営リーダーの育成に力を入れ、グローバル企業の経営にあるべきリーダー育成を進めている。それは藤森氏が長年勤めたGEのトレーニングを参考にしていると考えられる。

 2つ目は、M&Aによって事業規模の拡大を推進している点だ。リクシルは積極的にM&Aを行い、規模の拡大を追求してきた。グローエだけでなく、伊ペルマスティリーザや米アメリカン・スタンダードなど海外企業の買収戦略を積極的に進めてきた。

 14年度から実施されている中期経営計画では、売上高目標3兆円のうち1兆円を海外で稼ぐと明記している。アジア事業の強化に関してはジョウユウとグローエのシナジーを追求することが示されている。つまり、中国を中心とするアジア事業の強化にとってジョウユウは重要な拠点として考えられていたことがわかる。

積極的なM&Aのリスク

 リクシルは、より慎重にグローエ買収を進めるべきだった。ジョウユウの創業者自ら簿外に債務を蓄積し、不正会計の主導的な立場にあったことを考えると、売り上げ規模や販売店網などのデータだけでなく経営者に関する情報まで、詳細なデューデリジェンス(資産査定)が実施されていなかった可能性もある。